小山田大

 トップランナー見ました(http://www.nhk.or.jp/tr/album/050424.html)。確固たる信念でひたすらクライミングの極地を目指す小山田大という男の姿を取り上げた番組。今回の収穫は小山田がコンペで順位を上げてスポンサーにアピールすることをやめ、ひたすら困難な岩の課題の取り組むことで世界のナンバーワンではなく世界に唯一の作品(岩のルート)を残す道を選んだ心境を語らせたことだろう。ナンバーワンは地位を失う不安の元にあるのだが、時代の試練に耐えうるオンリーワンの仕事を後世に残ることを選んだ小山田の選択は正しかったと支持する。彼の成果はおそらくとてつもないもので、すでにクライミングの歴史の一部になっているのだ、と思う。


 今回のトップランナーと1月に放送された情熱大陸を見た感想ですが、クライマー小山田大を表現するという点においては後者の方が成功していたと思います。一緒に見ていた妻が穏やかな人ねー、といっていましたが穏やかなだけであるはずはありません。困難な課題を克服する際の常軌を逸するともいえる集中力の高まりが表現できていなかったのでしょう。今回の放送でスタジオでのインタビューという形式をとっていたためか彼も構えていて本来の傲慢、ともいえる強い個性が殺されていたことも理由だと思います。彼のようなシャイな人は自然の中の1対1の対話の中で親しい人がゆっくりと本音を引き出してあげるのが良いアプローチだと思いました。インタビュアーに人工壁登りのまねごとをさせるのに時間を割くのは無駄。それから会場の参加者からの質問コーナーも二問だけだったのはもの足らない。本当はもっとクライミングの本質に迫る質問があったに違いない、と思います。番組の飾りの部分(各コーナーの導入部位CGなど)が派手すぎて出演者にあわせての引き立て方が足りなかったのがまずい。ともあれ全国放送のプライムタイムでクライマーが取り上げられたことは画期的です。興味を持った人は彼の登りを見るべし。彼の最新DVDはこれ。
http://www.pump-climbing.com/html/fsp/forte/forte.htm