Giro de Italia stage 19

 イタリア一周レース最後の山岳ステージ。Streamingでレースを追うが迫力満点でおもしろかった。この日までリーダーの総合順位トップのサボルデッリを2分9秒差でジルベルト・シモーニ(砂田弓弦さんのサイトへ)が追う展開だ。三つの急峻な峠を越えるコースなので2分差は展開次第で逆転可能な範囲。最後のチャンスにかけたシモーニが二番目の峠フィネストレの登りでアタック、それの総合3位のホセ・ルハーノ、4位のダニロ・デルーカがついていく。しかしサボルデッリはついていけず遅れ、アシストもなく淡々と登るのみ。チャンスとばかりシモーニがペースを上げる。画面でみると気迫満点で先頭を引くシモーニと3位浮上を目指すデルーカがぐいぐい引っ張っていく。すごいペースでほとんどサドルに腰を落とさずに登り続ける。フィネストレ山頂ではサボルデッリを逆転して暫定首位まで上り詰めた。しかしこのオーバーペースが祟ったのか最後の山頂ゴールへの登りではペースダウン、シモーニは惜しくも28秒差で2位にとどまった。総合順位は結局変わらずだったがより高い順位への意地をかけたライダー達の様々な執念が感じられるすばらしいレースだった。streamingではイタリア語の解説もが雰囲気を高めてくれて良い感じ。


 レース後のシモーニ


 シモーニといえばジロで二回のチャンピオンに輝き上位の常連の山岳スペシャリストだ。昨年はしかしチームの若手クーネゴにエースの座とジロ優勝をさらわれてしまった。若く甘いマスクの人気者クーネゴと見るからに悪役面のシモーニでは人気の差も歴然でシモーニ危うしとの感じだった。実際クーネゴとの確執ではシモーニは悪役のように伝えられていた。しかし今回のジロでは実力でエースの座を奪い返し、最後の山岳ステージでも攻めまくる姿勢は迫力満点だった。若者に足下を脅かされるオヤジに力を与えてくれたシモーニさん、ありがとう!


 もう一人の主役はデルーカ。彼はシモーニとはうってかわって(!)美形の青年。ジロの山岳でここまでやるとは誰も想像していなかったがもう一人大きなステージレースで戦える選手の誕生だ。


 ベネズエラのルハーノはシモーニ・デルーカのコンビにぴったりついて最後は力尽きたシモーニを引き離してステージをとった。しかしルハーノといえばこの1月のツール・ド・ランカウイでの走りを思い出す。山場の山岳ステージで優勝候補のライアン・コックスと1対1で対決し、登りではほとんど先頭に立ってコックスを引き離そうと試みるが果たせず最後のスプリントで隙をつかれて優勝を逃した。しかしずっと後ろについていたコックスは「ずるーい」といわれても仕方ないな。今回のジロでは棚ぼた的勝利だがこうやって運は巡るものだと感じ入った。


 20ステージ、3,465kmの激しいレースが続いたGiroも今日で最終日。選手は本当にご苦労様。ジロに出場し、完走することだけで一流選手の証だが、早く日本人選手がポディウムに上がってシャンペンを空ける姿を見てみたい。