レーサーの背中、クライマーの背中

 今回のレースでは実にたくさんの選手の走りを見ることができた。


 で、分かったことは坂道走行中の姿を見ると大体その人が強いかどうかは見当がつく、ということだ。


最強ライダー達の背中を見るにはこちらへJUMPー>grahamwatson.com



 強い(強そうな)なライダーは概していい背中を見せている。これはおそらく苦しい上り坂でも理想的なライディングフォームを維持する余裕があるということだろう。そしてそのフォームを支えているのは強力な体幹部なのだと思う。体幹の強さを指摘する声はごく最近になって聞くようになった。体幹を支える筋肉群は外からは目立たない。だからこれらを鍛えている実感が湧きにくいのかもしれない。しかしがっしりした体格と安定した姿勢はしっかりと鍛えられた体幹に支えられたものだ。


 逆に体幹部が弱いとすぐに姿勢が、そしてバランスが乱れる。そして腰が曲がってペースが落ちる。姿勢が悪いな、と思って近づいて表情を見ると大体余裕がなくなっている。逆に良いペースで追い越す人たちは姿勢が安定している。そして弱いライダー達にその背中が「もう追いかけてくるんじゃない」と語っている。


 私は腰痛を抱えた状態でロードレーサーに乗り始めたが毎日乗っていると調子は良い。おそらくライディングポジションを一定に保ってコンスタントに刺激を与えるのが良いのだと思う。それがMTBで山道に出ると衝撃がきつすぎて大変だった。ロードとMTBは異なった遊びだと思う。


 体幹部の重要性はクライミングでも同じだ。腕力、指の力が強調されるが岩にしがみついておれるのはあくまで脚の力とオーバーハングした場所で壁から脚を離さない強力な体幹部の力だ。かぶった傾斜で落ちるのはまずたいてい脚が壁からはずれ、その結果腕に体重が集中して支えきれずに墜落というパターンだ。腰が壁から離れた時点(脚が切れる、という)ですでに勝負あり、ということだ。強い(単にうまい、だけではない)、とされるクライマーはたいていすごい背中をしている。体幹が強くなければせっかくの腕力も、脚力も生かせない。

 ロック・クライマーの理想的体型を表現するとこんな風になる。

  1. 腕長、短足
  2. 中肉・中背
  3. 肩と背中が発達し前かがみな姿勢。
  4. 従ってよりゴリラやチンパンジーに近い類人猿タイプが理想。
  5. しかし状況判断とルートの解析能力には強力な記憶力とスピーディーな問題解析力、そして長期的な戦略眼が要求される。
  6. 従ってロッククライマーとは優れた頭脳を維持したまま類人猿型に更に体型を進化させた人類、というべき存在だ。

こんな感じです:JUMPー>onsight.com.au

 つまり人類の大進化は文明の辺境で、肉体の限界を極める行為から生じるのである。


 ホント?!