Robert Capa

 登攀工作員日記に触発されてロバート・キャパの写真展に行って来た。平日の百貨店のギャラリーは夕方とはいえさほど混んではおらず、熱心だが静かに鑑賞するお客さんに囲まれてゆったりと作品を見ることができた。

 今回は当時としては目新しかったカラーフィルムをつかってキャパが撮った作品の展示だ。冒頭にはキャパが第二次大戦中にアメリカからイギリスへ物資を運ぶ貨物船に同乗して撮影された作品が並ぶ。護衛鑑が併走する中を船員も銃を手にして緊張感あふれる航海だ。またイギリスの飛行場で爆撃機の発着を撮った作品では出撃前の飛行士の緊張した姿が印象的だ。しかし何であんなにきれいに構図が決まるのか?あれはじっくり計算して撮るということとは正反対の反射神経の支配する領域なのだろう。

 印象に残ったのは彼の出世作コペンハーゲンでのトロッキーの演説風景。縦にひび割れたような模様*1の中で熱弁をふるうトロッキーは亡霊のような迫力があった。もう一点はベトナムで撮影された草原に広がって歩く兵士達の写真。彼はその1時間後にカメラを残してあ地雷を踏んで40才の生涯を終えた。不意に死ぬことを常に予期して最後(になるかもしれない)の作品が価値を持つように毎回木を抜かずにシャッターを押したのだろうか。

 

*1:ネガのひび?