私の履歴書 長島茂雄 7月23日

 「私の履歴書」は長島茂雄氏。1979年秋の若手主体の秋季キャンプの様子が語られている

「おまえら、血へどを吐くほど徹底的にしごいてやるから覚悟しておけよ。よし、死にものぐるいでやれ。」

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 とにかくこの伊東秋季キャンプで私は選手の腰が抜けるまで絞り上げた。みんな涙を流しながら食らいついてきた。

 まさに「巨人の星」の世界そのもので、知性のかけらもない文章で唖然。28年前とはいえ戦前のスパルタ方式そのものでやっていたとは。そりゃジャイアンツは弱くなるはずだ。こんな前時代的なトレーニングでしごかれたあげくにFAや外人にレギュラーを取られてしまうなら若手もやる気をなくすよね。こういった指導方針の弊害は選手が理不尽を承知でも監督の気をひくことでチャンスをつかもうとするからだ。それでも長島ジャイアンツがやってこれたのは優秀なコーチと強力な助っ人たちが天真爛漫な監督を支えて居たからなのだろう。同じ時代に生きた野村克也氏の「履歴書」が様々な分析と知略を示したすぐれた読み物だったのと比べて雲泥の差。おそらく口述でライターが書いたのだろうがどうせならもっとましな読み物にできたはずなのに。読むに価しない記事を掲載した日経の見識を疑う。

 長島氏に「巨人軍は永遠です!」と言わせ、「読売巨人軍終身名誉監督」というすごい肩書きを与えて身体が不自由な今なお広告塔として利用しようとするチームが野球界をいまだに牛耳っている。こんな組織が日本のスポーツ界の頂点に位置する日本でまっとうなプロスポーツが育つことに絶望してしまいそう。