極端大仏率Returns! :: 「高学歴ワーキングプア」

 博士の就職難の問題を扱って話題に話題になっている本らしいが私は読んだ事はない(予定もない)。

極端大仏率 Returns!

なんじゃこりゃ!? これは好きな異性と暮らす理由として,「収入が倍になるけど家賃は同じ」とか「炊事洗濯の手間が二分の一」とかをあげるようなもんじゃなかろうか。そんなことはどうでもよくて「惚れてしまったからしょうがない」という以外に理由はなかろう。大学院も,特に人生棒にふる覚悟で行く博士課程は,「研究が好きでしょうがない」という以外の理由だと,恐ろしくわりにあわない選択だと思う。理論物理だとか哲学だとかのつぶしのきかない分野は,稼ぎもなく浮気性でどうしようもないチンピラ男もしくはアバズレ女に惚れてしまったようなもので,好きじゃないとやってられないのではなかろうか。

ーーー中略ーーー

 博士卒業者としては中学→高校→大学とステップアップしてきて,さらにその上に大学院まで積んでいるのだから,それなりに処遇されていいと思っているのに,世間一般では大学の頃にセミプロのロックギタリストをやっていて,卒業してもそのままインディーズで活動してて30才過ぎました,というやつが職探しをしているのと同等にしか見てくれない。

 同感。

 私の同業者のアメリカ人にはヨセミテでクライミングバムをやっていたり、ギター教師をやっていたと言う人もいる。だからおそらく逆のコースを辿った人もいるのだと思われる。

 オーバードクターという言葉を知っている人がどのくらいいるだろうか?大学院を卒業し学位は取ったがアカデミックポストはないので研究室に居残ってバイトと配偶者の支えで食いつなぎながら研究を続けて就職のチャンスをうかがう博士たちだ。この言葉が死語になったのはポスドクという短期ー中期の職が増えたからで、問題は多少は改善している。かといって就職が困難な状況は変わってはいない。

 研究者はやくざな稼業で、大きな夢と自由と引き替えにリスクを負う職業だ。自分の能力と運が尽きた時、どうすべきかの覚悟は心に秘めていなくてはいけない。しかしその覚悟さえあれば科学者は自由な心で世界を巡り、力を試す事の出来る面白すぎる職業だと思いますよ。