おくりびと

お悩み別コエンザイムQ10の摂り方でオススメな方法は?

 葬儀とは亡くなった方に敬意を払って送り出し、残された者が新たなスタートを切るための儀式。亡くなったのが年長者の場合、死を悼みつつ新たな世代に家族の系譜を引き継ぐために必要な通過儀礼との意味もある。つい先日ある方の親御さんの訃報に接してこんなことを想った。
 本作品は亡くなった方を棺におさめることを職業とする納棺師のお話。納棺の作業を厳粛な儀式とし、亡くなった方への別れを演出する仕事として紹介している。私自身は納棺の作業を見たことはないが曾祖母が亡くなったときに立ち会ったおばの話では立ち会うだけでもかなりきついものだそうだ。

 儀式を執り行う者として目立たずしかし美しくかつ手際よく遺体を処置するシーンがたくさん出てくる。遺体処理のシーンはいっぱいあるが思い出せる範囲で書き出してみよう。

  1. 独居老女 死後二週間
  2. 40代女性 夫と娘を残す
  3. 首つり自殺者
  4. バイク事故死のヤンキー娘(高校生)?
  5. 煉炭自殺の男子(ゲイ、遺体役は女優さんだ)
  6. 愛人に囲まれて送られるおじさん
  7. お婆さん ルーズソックス
  8. 風呂屋のおかみ
  9. 自分の父親
  10. エンドロール お婆さん

 厳粛さが求められる納棺の作業には姿勢がよく顔立ちもしっかりした俳優さんがお似合いで、木本雅弘は適役だった。彼の裸のシーンが二度ほど出てくるが鍛えられた太い体幹を見せていた。美しい動作と姿勢の裏にはこれくらいの修練は必要なのだろう。上司の山崎努は役者として最後の時期に入っているのだがきりりと決めるところは決めて見事。特に木本に納棺の作業を譲ってからの、作業を見守る視線が秀逸。正体不明の事務職員(余美貴子)も良い味だ。木本の妻役の広末涼子はちょっとおバカっぽい。無邪気な若妻という役柄では良いのだがほかのもう少し年齢のいった女優さんでも見てみたかった。

 笹野高史が扮する火葬場職員が出てくる。映画でも出てきたが葬儀を職業とする人は忌み嫌われ差別されることも多いという。いつだったかの葬儀で火葬場に行って棺を火葬炉に入れる場面でとき誰かがカメラを持ち出してちょっとトラブルになりかけたことがある。冠婚葬祭がお手のものの叔父が教えてくれたところでは火葬場職員は仕事中の姿を写真に撮られることを望まないそうだ。当たり前である。葬儀の主役は故人であり、その裏方は素顔を表に出してはならないのだ。

 納棺の話を映画にするアイデアを出したのは木本雅弘だったという話。そのいきさつに関して藤原信也氏がコメントしている。ー>PHPウェブログシステム3/ネットマニア

 本木の父親役を演じた峰岸徹さんが10/11に肺がんで死去されたそうだ。悪い冗談のような話だが告知されたのはこの映画の完成後。厳かに送り出されたことだろう。ー>http://minegishi-toru.com/index.html

 この題材が映画になることを見いだし、ヒット作に導いた関係者に敬意を表する。