First Man

アポロ計画をリアルタイムでフォローしていた子供だった私にはマストの一作。アポロ11号で人類として初めて月面に立ち、生きて帰ってきたニールアームストロング。本作品の宇宙船映像は宇宙飛行士が操縦席で体験した轟音、振動と加速度の臨場感を強調している。引いた画像で宇宙船を外から見せるこれまでの作品(アポロ13号など)とはちがうところ。宇宙船があれだけガタガタ振動するとどこかのネジがはずれてしまわないか心配になる。飛行士は整備士の完璧な仕事を信頼して乗るほかはないがオペレーションの各ステップで間違いが起きない保証はない。船体の切り離しとドッキングを繰り返すステップで一回でもミスれば生きて帰って来れない。月面への下降は事前のテストも練習もなしの一発勝負。更に燃料もぎりぎりで使い切る直前で着陸。安全性のマージンを極限まで削ったミッション。また加速時のすごい振動からエンジン停止後の慣性飛行での静寂のコントラストが印象的。船員が音楽を聴いたのはソニーのカセットテープ再生機だ。作品は家族の人間ドラマに重点が置かれ危険きわまりないミッションの緊張感は伝わるが、技術的なチャレンジなどの記述はもの足りなかった。

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