Darkest Hour

邦題で「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

 ヒットラーの侵攻に推されて英国本土が危機に晒された時に挙国体制で対応にあたるべく首相に指名されたチャーチル。言葉を選び、数々の著作を著したチャーチルの資質を象徴するように映画は彼と彼のタイピストとの文書作成のやりとりを軸に進行する。舞台の1940年は連戦連勝でフランスを占拠したドイツ軍が英国本土侵攻を伺う時期で米国もソ連も参戦していない時期。米国は日本との緊張感を高めており欧州に参戦するかの決断はされていなかった。孤立無援の状態で徹底抗戦を訴えて、ムッソリーニヒットラーとの講話案を退けて、最終的に勝利に導いた彼は英雄だ。しかし映画で示された情報だけではあの当時に勝算があったのかは疑問だ。

 ヒットラームッソリーニとの和平か徹底抗戦かという構図にBrexitEU残留かの選択を重ねてみる英国人は多かったのかもしれない。この映画の公開は2017年で2016年の国民投票Brexitの決断は決まったいたが英国に引き継がれる独立独歩の雰囲気を象徴する作品だと思える。Brexitに英国の名誉復活の活路を見いだそうとする英国民はチャーチルの成功の再現に賭けたのだろうか。今回は無謀な賭けに見える。
 
You are wise because you have a doubt.
チャーチルが講話派の圧力に悩んでいた時期に奥さん(クリスティン・スコット・トーマス)がかけた言葉がよかった。

 

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