三体

話題のSF巨編。中盤まで現在、過去、ゲームのバーチャルな世界などが代わる代わるあらわれて、謎は深まる。それらのゆったりした伏線は後半に一気に回収されすべてがつながり一気に引き込まれる展開。カールセーガンやアシモフの影響は色濃く受けつつ、先人を凌駕するスケールと途方もない想像力で大きく展開。SFとしても途方もない設定がさもありなんと思わせる構成力は見事。

 惑星、衛星の軌道がニュートン力学で予想できる「安定した」太陽系に対比する形で、3個の太陽が予想不可能な軌道を描き高温と低温の世界が不規則にあらわれるたびに文明がリセットされる三体惑星系。交信に成功した二つの文明は互いの世界に救世主とユートピアを見て接触を試みる。更に二作の続編が楽しみだ。

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