EPO

 NacoさんのMas Ciclismo Newsにこんな記事がでていた。

ツアー・オブ・カリフォルニアの主催者は、実はEPOの研究開発・販売をする会社

ディスカバリーが、来年2月19〜26日開催のツアー・オブ・カリフォルニアに出場することを公表した。
ーー中略ーー
ところが、11/2になってUSA TodayやNYタイムズが、このレースに水を差すような記事を掲載した。
「アマジェンはEPOのR&Dをやっている。EPO製造会社がレースのスポンサーか!」というもの。EPOはドーピング剤としてスポーツの世界では禁止薬物として扱われているが、赤血球を増力させるので貧血の治療薬などとしても使用されている
ーー以下省略ーー

 ちょこっと補足させて頂く。

 EPOエリスロポエチン)は有効な増血剤としてすでに医療の分野で広く使われており、バイオテクノロジーの最大の成果のひとつと呼ぶべきものだ。EPOを商業化したAMGENはバイオベンチャーにおける勝ち組である。医療面での貢献度に比べればドーピングへの使用はEPOの利用の極めてマイナーな一面にすぎない。しかし注目度の高いスポーツでの不正使用による逆宣伝効果は大きい。ドーピングでもうけているなどと誤解されてはえらい迷惑だろう。ツアー・オブ・カリフォルニアのHPを見るとAMGENがスポンサーすることに際してのステートメントでこう述べられている。

“We worked long and hard to develop these medicines to help patients fighting
serious illness,” said Amgen scientific director Steve Elliott. Elliott is the inventor of
Aranesp and has worked closely with the IOC to develop tests to detect improper use of Amgen’s medicines. “Doping is dangerous and unhealthy. This sponsorship
provides us with an opportunity to combat the inappropriate use of our vital medicines and to educate athletes, both amateurs and professionals, of the potential dangers of misusing drugs of any kind.”

 我々は患者さんたちが重い病と戦うための薬を開発するために長年働いてきた。ドーピングは健康を害する危険な行為だ。今回のレースのスポンサーとなることで重要な薬が不正に使用される行為と戦い、アスリートたちに薬物の不正使用による危険を教える機会としたい。

 EPOは医療分野の救世主だがスポーツ分野でのドーピング行為で取りざたさることでよくないイメージがつくことをAMGENは恐れたのだろう。ただしドーピングに関してAMGENが非難される筋合いは全くない。
 経緯はともあれヨーロッパに比べればマイナーな自転車レースにアメリカの大スポンサーが付くことは歓迎すべきことだ。ただしこのレースに対するヨーロッパ、特にフランスからの目は厳しいだろうからドーピング検査はより厳しいものになるだろう。