早石修

 京都大学名誉教授の早石修先生が書いておられる。先生が留学されたのは敗戦間もない時期。焼け跡で実験した研究成果を日本国内での英文誌に投稿した論文が海外の研究者の目にとまりウィスコンシン大学ポスドクに招かれる。しかしそこのボスの考え方に賛同できず疑問をもった彼は間断をおかずにカリフォルニア大学のラボに移籍。そこでの実験はうまくいったそうで実験と論文書きを連続して一ヶ月で6報出したとか。いくら生化学で簡潔な論文だったとしても生半可な量ではない。そして今日の朝刊、ウィスコンシン大学に知古を得たアーサー・コーンバーグに連絡を取りNIHのラボに移籍の約束を取り付けるいきさつが書かれていた。その間1年足らず。決断の早さと行動力に恐れ入る。それぞれの研究室では多少なりとも波風は立っただろうが的確な判断で現状に見切りをつけて次の手を打つタイミングの良さを学ぶべきだろう。