Toshiko Akiyoshi

http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/culture/0000131867.shtml

秋吉敏子さんが米・国立芸術基金(NEA)ジャズマスターズ賞を受けた、と言うニュースで彼女のこの作品を思い出した。受賞記念としてすかさず購入。

ロング・イエロー・ロード

ロング・イエロー・ロード

 この作品の発売は1975年。私が高校生の頃だ。出だしの"Long Yellow Road"のもの悲しいメロディーが頭にこびりついていた。Long Yellow Roadとは彼女が生まれ育った満州の光景だそうだ。彼女は日本の敗戦と共に幸いにも無事帰国し、別府で育ちながらピアノの親しんだ。来日中にJazzミュージシャンの知故を得てレコーディング、渡米してBerklee音楽院の奨学生として迎えられそれ以降アメリカを主な活躍の場とする。しかし日本人の業を表し、しかもアメリカの音楽に受け入れられる作品にこだわってきたようだ。中国残留孤児の悲惨な状況を考えれば秋吉さんは幸運だったと思う。しかし彼女は自分の代わりに不幸を引き受けた人々の思いを背負ってアメリカで生き抜いてきたのではないかと思う。普段眼にする彼女の映像はいつも厳しい表情なのだが今回の報道で配信された写真は柔和でとてもうれしそう。年月を経てあの表情にたどり着いたのだろう。経済的に割に合わないビックバンドを率いてアメリカ文化に挑んできた彼女の戦いの重さを実感できる作品だ。