長井健司の仕事

 世界報道写真展の会場に並設された会場で昨年ミャンマー民主化運動取材中に射殺された報道写真家、長井健司氏の業績をまとめた30分の映像が上映されていた.映像はまず長井氏のミャンマーでの射殺シーンから始まり、彼の代表作に続く.イラクのバクダッド陥落におけるフセイン像倒壊シーン、イラクの病院で痛ましい治療をおける子供たち.タイのエイズ患者孤児院の取材、そして銃弾飛び交うパレスチナ、最後に再び長井氏の銃殺シーンで終わる.手に持ったビデオカメラに語りながら凄惨な現場を駆け回る行動的な取材を50歳を超えてもなおつづけた行動力に感服、そして長井氏の冥福を祈ります.

 長井氏の射殺シーンは近くの建物から撮影されており、銃弾に倒れてもカメラを離さない長井氏の姿のショットピュリッツァー賞を獲得した.大きな賞を得たのが自分の作品ではなく、死にゆく自分自身の姿だったとは皮肉なことだ.しかし世界中のジャーナリストも長井氏の死亡シーンを表彰することで彼の業績を称えることを選んだのかもしれない.

http://www.apfnews.com/kenjinagai_archive/

 会場は熱心な観客にあふれて感心の高さを示していた.先日、映画文章による告発の話に触れたが、やはり実際の映像の訴える迫力にまさるものはない.入場券1枚で二倍の価値あり.