「歩いても 歩いても」

http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20080928ddm041200107000c.html
 この映画は「表に出せない感情のわだかまり」を表現する映画だ。次々出てくる食事のシーンやささやかなエピソードをじわじわと積み上げていきます。三世代の家族のあいだの関係が面白おかしく、ちょっと悲しく描かれていました。私には原田芳雄さんが演ずる父親の医師が急患を診ることが出来ずおろおろするシーンがもの悲しくも、時の流れを象徴するシーンとしてとても印象に残っています。私が観たときには高齢者の方が多くみられました。あの方々にはまた違った見方があったのでしょう。見終わった直後よりも、あとになって思い起こす時に感慨が湧く作品です。
 陰にこもった気恥ずかしさが一杯詰まったこの作品は日本人にこそ理解されると思っていたのですが、感情をあらわにして隠さないスペインでも評価された事には驚きです。そしてとても喜ばしいことです。