びっくらこいた

 晴天の中、自転車で帰宅の途について山手幹線を走っていたときのこと.ここは山幹が途切れて二号線に迂回するところなので道はきれいに鋪装されているが、車の通りは少ない.車道を快適に走って青信号の交差点に入ろうとしたその時、横断歩道前に突然若い男が両手を広げて飛び出してきた.ブレーキをかけて停止するとその男はいきなり自転車のハンドルをつかんで私の動きを止めると大声でわめきだした.ロードレーサー乗りに恨みがあるのか、「車道を走るな*1」、「一度自転車乗りを捕まえてやりたかった」、と訳の分からないことを言い出して、それから「警察を呼んでやる」と言って携帯を取り出してなんだかわめいている*2.その間も車道のど真ん中で私の自転車から手を離さず動くに動けない.相手は30才前後のサラリーマン風での男で、自転車をつかむ力は強く逃げられそうにない.発言だけではなく視線と表情に落ち着きがなく常軌を逸した雰囲気だ.しかしこの男はわめくだけでそれ以上に暴力的にはならなかったので、そのまま道の真ん中でにらみ合いをすることになった.どうにもらちが空かないので近くを歩いている人に「警察を呼んでください」と依頼するが老人や中年の女性はかかわり合いを恐れてかそのまま立ち去ってしまう.15分くらい膠着状態が続いただろうか、横断歩道の向こうから歩いてきた若い男性が「警察に電話しました」と言ってくれた.どうやら向こうで一部始終を目撃していたらしく、私に絡んでいる男の尋常でない様子もわかってくれていた.そのうち警察の人が来たので、私の方から事情を話した.その間も男は自転車を離さずおかしなことをわめき続けている.「自転車を離しなさい」との命令にも従わず困り果てているうちに次々と警官の方がやってきた.形勢不利と悟ったのかその男は突然自転車を離して警官の静止を振り切って立ち去った.

 その後警官の方に事情を説明しているうちに現場を立ち去ったおかしな男は近くにおいていた車(黒のジャガー!)に乗って逃げたそうだ.警官の方が追いかけたそうだが捕まえるのが難しそうだ.「おかしな人がいるものですね〜、ということで一件落着」.通報してくれた若い男性はそのまま現場にとどまって説明してくれた.正義感の強そうな青年の彼と警官の方々に丁重に礼を述べて帰路につく.

 訳の分からない出来事だったが、問題の男性は言動から判断して特に私を狙っていた訳ではなさそうだ.何らかの理由で自転車乗りに恨みを抱いており、今回のような所行に及んだらしい.それにしても信号のところで待ち伏せているとは尋常でない.今回は素手で来たから身体の危険はあまり感じなかったが、こんな人物が車で自転車乗りに威嚇行為に及んだらただではすまない可能性がある.

 がめんださんのこんな記事を読んだばかりなのに形を変えて自分に降り掛かってくるとは運が悪いというしかない.しかしこれだけで済んだのは幸運というべきだろう.アブナい人間と車には近づかない嗅覚と勘を養うことが大事だと改めて感じた.

 

*1:当然ながら車道通行は交通法規で認められている

*2:多分電話は通じていないと思う