Cairns

 シドニーから3時間北に飛びCairnsにやってきた。ここではSaints博士が労をとってハエの研究者だけが集まったmeetingに参加した。シドニーの大きな学会に併せて企画されたせいもあってか高名な優れた研究者が数多く集まった。しかしここのmeetingだけのためにオーストラリアにやってきた人も数多くいた。会場のホテルに着いての第一印象はまだ寒い都会のシドニーから温暖で明るいリゾート地のとの落差だ。湿潤で暖かい空気のおかげで一気に緊張感が熔けてくる。
 今回の参加者は主宰者側のスタッフを含めて100名を越える程度。宿舎も同じで毎日缶詰状態でトークとポスターセッションが続く。日程はセッションが1日半行われてから丸一日エクスカーション、そしてもう一日セッションがあってfair-well party。シドニーの続きで来ている人が多いのでちょうど良い長さだ。

 この程度のサイズで泊まり込みのmeetingは参加者の交流のためにもちょうど良い。大きな学会で広範な話を聞くのも良い。しかしこのインターネットの時代にわざわざ時差を我慢して遠い地まで出かけて行くのは、職場での気分をリフレッシュして普段会うことのできない科学者と直にコニュニケーションをはかり、信頼関係を築くためだ。また個人的な信頼関係はその人のサイエンスに対する評価にも影響しうるだけに大事なアピールの場でもある。信頼できる人の言葉だからこそ人は耳を傾けるのだ。初めて会った人から「あなたの論文は読んでますよ」と言われたりするのはとても光栄なことだ。

 エクスカーションでは沖の珊瑚礁に出かけて生まれて初めてのスキューバダイビングまで経験してしまった。また最終日のパーティーではアボリジニの儀式と音楽を見せてくれるショーがあり大変興味深いものだった。こう書いていると科学者とは良い身分だと思われるかもしれない。しかし実はこのような行事の最中でも我々は研究の話や、実験材料の取引、共同研究の相談など実に様々な話が進んでいるのだ。これも密にコミュニケーションをはかれる環境あってのことだ。わざわざ足を運んだ甲斐は十分あった。