興奮できる研究成果

 学会に来て連日いろいろと話を聞いている。昨夜食事の席で「びっくりするくらいおもしろい話がありましたか?」という話題になってふと考え込んだ。おもしろい話、役に立つ話、苦労話で身につまされる話、などいろいろあるが天地がひっくり返るほどの話を聞いたことはない。どちらかといえば人の話を聞いて「ああ自分だったらこうするのに」、「やっぱり自分たちの結果の方がおもしろい!」、なんて思うことが多い。


 自分が一番興奮できるのは、人の話を聞いて納得することよりも、自分たちの研究が美しい解答にたどり着いたとき、悩み抜いていた謎が解けたとき、懸案の問題が片づいたときです。もっとも端から見ている人は単にニヤニヤしているだけに見えると思いますが。


 もちろん自分自身が思うほどに他人が我々の仕事をおもしろいと思ってくれるかの保証は必ずしもない。しかし自分自身の仕事を自分でポジティブに評価できなくてはその価値を人には語れないと思う。アメリカ人は底抜けの明るさで自分をアピールできる人が多いと思う。行きすぎた自己主張の弊害は自覚しつつも、自分を愛せる人こそ人の価値もしっかりと認めることができるのだと思う。