Science

Ecological Developmental Biology: Integrating Epigenetics, Medicine, and Evolution

(2012年に書いた感想を再掲) Scott F. Gilbert, David Epel 発生学の定番教科書"Developmental Biology"の著者が挑んだ新しい発生学の枠組み.モデル動物を主体とする生物学では研究対象を限られた種に絞り、使用系統、飼育条件を統一化して世界中で共通し…

The Creativity Code: How AI is learning to write, paint and think

深層学習で鍛えられたAlpha GOが人類最強の棋士を破ったニュースは記憶に新しい。AIはこれまでの棋譜にない新手を連発して人間を破った。これが新時代の創造性というものだ。AIの持つ創造性のポテンシャルとその限界は何かを問うのがこの本の課題だ。著者は…

Apollo 11

1969 7/20 50年前の今日、人類が初めて月面に到達した。その記念すべき日に見る映画はこれしかない。淡々としたドキュメンタリー形式で発射から帰還までのシーンを構成。発車前の飛行士達が宇宙服を着用するシーンや巨大なサターンV型ロケットを車台に乗せ、…

恐竜知識のアップデート

The Rise and Fall of the Dinosaurs: A New History of a Lost World 作者: Steve Brusatte 出版社/メーカー: William Morrow 発売日: 2018/04/24 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 若手の考古学者が最新の恐竜学の知識を披露する。物心…

ひとつぶで二回おいしい行政刷新

行政刷新会議では当初指名されていた多数の議員が外された.小沢幹事長の意向だと言うが政治主導を掲げる民主党としてはおかしな決定だ. 代わりに選任された民間からの仕分け人が議員の指揮のもと(そして財務省の筋書きで)ばっさばっさと豪快にきりまくる…

行政刷新会議という名の人民裁判

今週末、13日の第三WGにおける話をipodに落として聞いていたが腹の立つことばかり。 情報は以下のサイトに詳しい。 http://mercury.dbcls.jp/w/index.php?FrontPage行政刷新会議の議論に巻き返しをはかる文部科学省からコメント依頼が来たので投稿。練れて…

ドイツ、学会、ノーベル賞

今週のノーベル賞発表週間の前半はドイツでの集会で過ごした.月曜日はちょっと気になりながら講演を聞いていたら12時過ぎの講演の合間にEMBOのDirectorになるというMLさんが大声で叫んだ.「ネットサーフィンをしていない人にお知らせ!今年の医学生理学…

間違っていた結果はどう公表するか?

The Big brain aquaporin is required for endosome maturation and Notch receptor trafficking Ritu Kanwar and Mark E. FortiniCell. 2008 May 30; 133(5): 852. doi: 10.1016/j.cell.2008.04.038昨年発表されたこの論文はエンドソームに存在する水チャン…

科学における不正の問題

生化学・分子生物学会合同年会(BMB)が先週行われた.すごい分量の講演が行われたのだがあまりにも多すぎてどこに行ったらいいのかわからない.その中でしっかり狙って出席したのがこの会議.感じたことを雑多に書き残しておく. http://www.aeplan.co.jp/b…

南半球は春

とある学会に参加しに地球の裏側まで来た.招待講演者は豪華メンバーでレベルは高い.大阪ー成田ーアトランターブエノスアイレスと連続して移動し、現地についたのは出発36時間後だった.しかしトランクが出てこない.「明日には届けますから」と説明する…

Predictably Irrational on line

Dan Arielyによる行動経済学の本については以前に触れた。この著作を巡るウェブサイトが公開されている。また本書についてDanが語るビデオがitunesから公開されている。ビデオは本書の各章に対応していて、その第一章の部分を見た。Danがインタビュー形式で…

GFPの発見

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081008-OYT1T00560.htm?from=top真のパイオニアが認められたうれしいニュース。下村先生の書かれた発光タンパク質と蛍光タンパク質の発見物語は楽しい読み物だった。 Journal of Mocroscopyに書かれたレビューは無…

アサギマダラ

(クリックすると大きな写真が見られます) ハイキングの途中で数多く見られた。南下の途中なのだろうか。後翅の一部が欠けている所に長旅の厳しさが想われる。

Retracted paper

Cell -- Nunez et al."Nuclear Receptor-Enhanced Transcription Requires Motor- and LSD1-Dependent Gene Networking in Interchromatin Granules" Shortly after publication of this paper, concerns were brought to the authors' attention regarding …

発生学会@徳島 その1

前日の若手セミナーから参加したが活発な議論が多く交わされて面白かったです。出席した感想を書き残しておきます。 英語化について

今日のセミナー

演者のCheng-Ming Chuongさんは台湾出身で南カリフォルニア大学の方。脊椎動物の毛、羽毛、羽根、うろこなどの発生を研究している。これらがすべて表皮の突起物で様々な形をとるがそのバリエーションが半端な数ではない。これらの構造物は生存に必ずしも必須…

Sir John Gurdon

今年で75歳になるGurdon博士によるセミナー。ご自分のキャリアの原典である核移植によるゲノムの初期化のプロジェクトに関わる最新の成果を語る。今なお現役の実験家である博士の語り口のシャープなこと。必要な事は全て語り、無駄な言葉はいっさい無い。…

幻のハエを追え!:蟹の甲羅に共生するショウジョウバエ

The Cayman Crab Fly Revisited — Phylogeny and Biology of Drosophila endobranchia昆虫に共生するバクテリアは多いが、昆虫がその兄弟である甲殻類に共生するとは聞いたことがなかった。そんな報告が進化生物学の大御所Hampton L. Carsonによって1974…

素数ゼミの真実

ここで発見した加藤教授の おことば。 人間の世界では素数はあまり大切にされていません。実際、世の中で素数で悩んでいる人は少ないのです。例えば、道で、調子が悪そうな人に『もしや、素数のことでお悩みですか』と聞いても、『いま忙しいからほっといて…

素数を愛した博士

東大が配信している「学術俯瞰講義」は毎年異なる分野のオムニバス講義を行っている。2007年のお題は「数理の世界」*1。その第一回が加藤一也京大教授による「数学の魅力」。これが最高に面白い。素数の話が主題なのだがこの人は心の底から数字が*2大好…

アーサー・C・クラーク

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080319-OYT1T00315.htm?from=main5 大好きな作家がとうとう亡くなった。私は30歳を超えてからこの人の作品を読むようになったのだが、その偉大なスケールが大好きだった。「2001年宇宙の旅」はミステリー仕立て…

女性が語る女性科学者の問題

http://www.current-biology.com/content/article/fulltext?uid=PIIS0960982208000997 Women in science ― passion and prejudice Open Access科学研究に関わる女性の割合は大学院生の数を見れば確実に上昇している。生命科学では更に比率は高いだろう。しか…

移り気な雌に左右される雄のファッション:鳥の場合

Adaptive Plasticity in Female Mate Choice Dampens Sexual Selection on Male Ornaments in the Lark Bunting | Science http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18218896 全くの門外漢ながらとても面白く読んだ論文なのでメモ。

ESP: Electronic Scholarly Publishing

Pubmedの充実で論文検索が便利になり、JBC, Geneticsでは創刊以来の全論文がPDFで供給されているのは事は素晴らしいことだ。日本でも発生学会のDGDなど多くのジャーナルがバックナンバーを電子化してフリーで供給している。Pubmedで古い論文のアブストラクト…

Basel

先日のスイス出張ではバーゼルのBiozentrumに同業のMAさんを訪問した。ついた夜にはライン川沿いのしゃれたレストランでdinnerをごちそうになり、翌日は朝の9時から夜の8時過ぎまでセミナーとディスカッション。MAさんのラボに接して彼の元ボスであるWGさ…

科学論文系ソーシャルブックマークサイトSesame

どうやったら溢れる論文情報を整理できるの? 論文の整理には論文執筆のデフォルトとなったEndNoteとフリーウェアのiPapersがあり、いずれもPDFを保存できる機能がある。しかし自宅と研究室、それから出張先で閲覧するには共有のサーバーにおかなくてはなら…

バスツールのフラスコ

研究所の博物館に展示されていました。自然発生説を否定する実験に使われたもの。この白鳥の首型のネックに水がたまって外部からのバクテリアの侵入を止めておけば滅菌した培地には菌が増殖しないとするもの。いまにして思えばこんな実験が本当にうまく行っ…

データを見せろ!

Show me the data | JCB JCBの巻頭言。JCBとThe Journal of Experimental Medicineの編集者らがimpact factorのからくりと不透明(不明朗)な点を指摘している。IF=過去二年間の総citation/その年度の論文数、で計算されるがIFを挙げるためのからくりがある…

パスツール

先月の末に研究所同士の交流行事でパリのパスツール研究所に行って来た。歴史ある研究所で多数の部門が研究棟、病院に分かれてパリ市内の一角にある。 まずは玄関隣にこの方の像が鎮座。

学会に行って来た BMB2007

ずいぶんご無沙汰ですが最近の報告から。今週は横浜で分子生物と生化学の合同年会。水曜に日帰りで行ってきました。