南半球は春


とある学会に参加しに地球の裏側まで来た.招待講演者は豪華メンバーでレベルは高い.大阪ー成田ーアトランタブエノスアイレスと連続して移動し、現地についたのは出発36時間後だった.しかしトランクが出てこない.「明日には届けますから」と説明する係員の言葉を半信半疑で聞きながらホテルへ.ここで寝ると夕方のセッションには起きられないだろうから町を散策して時差調整.大統領官邸の周りは警官が目立ち道路は一部封鎖されている物々しさ.軍政で争乱が続いた国の一面が伺われる.首都だけあって町並みは雑然として人が多い.初夏にあたるこの季節、人々も明るい感じ.

 夕方から始まったオープニングレクチャーはE. Wieshausの講演.若い人を意識して自分がサイエンスに取り憑かれたのは胚が発生するのを眺めることが大好きだからだと繰り返していた.この人は公務を免除されるsabbaticalの期間、邪魔が入らないことを良いことにどこにも出かけずラボにこもって実験をするというくらいの人なのだ.最近は物理系の研究者と組んでいい仕事を連発している.今回の内容もちょっと驚きの話だった.自分の話はこの日の最後.終わった頃には既に日本時間の朝になっており、次第に眠気も消えてきたようだ.レセプションの後にそのままbarへ.ホテルに戻って寝床に入ったのは自宅を出てから57時間目のことだった.