パスツール


 先月の末に研究所同士の交流行事でパリのパスツール研究所に行って来た。歴史ある研究所で多数の部門が研究棟、病院に分かれてパリ市内の一角にある。
 まずは玄関隣にこの方の像が鎮座。

建物はそれぞれゆかりのある研究者らの名前がつけられており、ミーティングが行われたのはこの建物。

二日間に渡って行われたミーティングはパスツール側から発生、転写、免疫学などの人が話してくださった。同業者のFSさんは来春パスツールに移ってくるそうだが特別参加と言うことで面白い話を聞かせてくれた。数名の小さなグループだがきっちり焦点を絞っていい仕事を連発している。「ここは自分がやったデータだ」といいながらディスカッションしてくれた。パスツールの発生分野はスタッフの約半数が非フランス人で所内の会議も英語化されているそうだ。フランス語にこだわり、英・米とは心情的にも軋轢があるこの国にしても*1サイエンスの文明開化は英語化からと割り切っているところは注目すべきことだ。昔私が転写制御をやっていた頃良く名前を聞いたYaniv教授が(初対面)私のセッションのチェアをしてくださったのはちょっとうれしかった。

 食事は立派でゆったりと頂く(もちろんワインつき!)。パスツールのカフェテリアは安価で美味しいと日本からきた留学生の方が教えてくれた。3日目の午前中は生物イメージングの施設を見学させてもらった。

 来年は創立120周年を迎えるというこの研究所。生物学の創立者パスツールをはじめメチニコフや私のヒーローだったモノー、ジャコブなど偉大な研究を誇りとして引き継ぐことが伝統の力を生むのだと感じた。良い研究を次世代に、次世紀に受け継ぐ息の長さがヨーロッパの強みだ。伝統をより高めて受け継ぐ科学の伝統を守るための理解を日本でも求めるべきだと思う。

*1:日韓関係のようだ!