好奇心の再活性化

 岡崎でのミーティングに行ってきた。一昨日からEMBLの研究者を招いての合同集会。日本からの参加者からも良い発表が多く楽しめた。このようにはじめて聞く人の話や分野違いの発表を聞く時、いつもとは違った思考回路を働かせるように心がけている。専門的な視点からの議論よりも、はじめて耳にする話をきっかけにいつもとは違った脳内領域を働かせるという感じだ。

 EMBLの人と話していて彼らが研究者を様々な方法で訓練し、活性化する努力を聞かせてくれた。たとえば少人数のPIだけでの合宿。進行中のデータを元に徹底的にdiscussionすることで批判と助言を交換する。ここにはポスドクも入れないそうだ。(入ったらかなり傷つくだろうから・・・だそうな。)大学院生は数百人の応募から5−10%を研究所、ラボの資金で受け入れるメンバーに絞り込む。なぜか日本からの応募は無いそうで是非応募者を募りたいと言われた。またポスドクを対象にPIとしての就職活動講座。これは印象に残るセミナーのやり方の特訓をPIが指南するというもの。PIとて任期を抱えているわけで、研究に教育にと忙しいはずだがMentoringに関わることでPIとしての成熟を促しているものと思われる。

 さらにEMBLはGene Expression, Cell Biology, Developmental Biology等々いくつかのユニットに分かれて組織されているがかなりのメンバーが複数のユニットに配属されることでユニット間の人的交流とノウハウの交換を円滑にしている。大きく、古い組織は得てして日局毎になわばり化して交流が希薄になりがちだ。その反省から私の所属している研究所では研究室を並列に配置しているが、この場合は注意深くしないと孤立するグループを生む危険を孕んでいる。EMBLはこの両者の中間的な編成を採用することで効果的な交流を図り、異分野間のブレーンストーミングを可能にしているものと思われる。ただしこのシステムもユニットリーダーのきめ細かい配慮と、任期制による絶え間ないラボの入れ替えが可能にする活性があってのことだ。

 本日は家庭の用事で最後のいくつかのトークは聞き漏らしたが研究面だけでは無く組織論の面からもいろいろ学ぶことは多い三日間だった。

 写真は岡崎城天守閣前に立つ亀の石碑。