Book

アルツハイマー病克服への長い道のり

日本発第一級のノンフィクションの誕生。超高齢化社会において認知症は当たり前の病気、というよりは症状である。どのようにしたらぼけずに健康な人生を全うできるかは高齢者だけでなくこれから年を重なる若い人にとっても大きな関心事だ。認知症の6割を占め…

Ecological Developmental Biology: Integrating Epigenetics, Medicine, and Evolution

(2012年に書いた感想を再掲) Scott F. Gilbert, David Epel 発生学の定番教科書"Developmental Biology"の著者が挑んだ新しい発生学の枠組み.モデル動物を主体とする生物学では研究対象を限られた種に絞り、使用系統、飼育条件を統一化して世界中で共通し…

Jerry Moffatt - Revelations

(2010に書いた感想を記録として再掲) ジェリー・モファットと言えば僕らが岩登りをはじめた頃にイギリスからアメリカに渡って有名ルートを片っ端からやっつけ、その後日本にも来て開拓されたばかりの最高難度ルートを一挙に片付けて有名になったクライマー…

The Creativity Code: How AI is learning to write, paint and think

深層学習で鍛えられたAlpha GOが人類最強の棋士を破ったニュースは記憶に新しい。AIはこれまでの棋譜にない新手を連発して人間を破った。これが新時代の創造性というものだ。AIの持つ創造性のポテンシャルとその限界は何かを問うのがこの本の課題だ。著者は…

「真実のデータ」

FB 2016年7月5日 に書いたものを記録しておく。 「真実のデータ」第一線の細胞生物学者で国際誌EMBO Jの編集主幹まで務めたPernille Rørth博士が故国デンマークに戻ったのちに研究の一線から退いたと聞いてびっくりしたが、科学研究に関わる小説を書いていた…

ネットは社会を分断しない

大規模なネットユーザー調査の分析よりネットの普及によって社会が分断されたとする説は支持されないと結論した。主な論拠は以下の通り。 社会の分断度は回答者の返答を数値化して右傾化、左傾化の判断指数とする。集団中での分散度が高いと分断が進み、中央…

科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました

科学者にあこがれて科学者にならなかった主人公を通して社会が見る科学者像と怪しげな偽科学の姿を描く。○○○○細胞事件を見る主人公の○○○研究所に対する無条件の信頼感が痛い。また自然出産、健康食品、怪しげな医療を信じる家族を「未開人」と罵る描写にも既…

テロ

シーラッハによる法廷劇の戯曲。学校の道徳の課題に使われそうな「暴走トロッコ問題」では暴走する列車がそのままでは大人数の集団に突っ込む。線路を切り替えればその危険は回避できるが別の少数の鉄道職員を犠牲にする。車線切り替えに責任を負うものの判…

三体

話題のSF巨編。中盤まで現在、過去、ゲームのバーチャルな世界などが代わる代わるあらわれて、謎は深まる。それらのゆったりした伏線は後半に一気に回収されすべてがつながり一気に引き込まれる展開。カールセーガンやアシモフの影響は色濃く受けつつ、先人を…

緋の河

桜木紫乃はたいていの作品を読んでいる。作風は良く言って安定、悪くいってワンパターン。いつも北海道、不幸な女の要素に多少のバリエーションを加えている。背景を流れる空気感はいつも桜木ワールドで、この空気が作品に一貫性を持たせている。モネが睡蓮を…

死に山

いくつかの書評で絶賛されていたので本を購入。冷戦真っ盛りの1959年のソビエト連邦、ウラル山脈深部を登山する学生グループが全員死亡した大量遭難事件。未解決事件として今まで残っていた事件にアメリカからひょっこり乗り込んだ若いルポライターが現…

コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ

ひさびさに心震える読書体験。現役弁護士が描く法廷劇を通じてドイツの原罪をあぶり出す。厳選された言葉をタイトな構成で紡ぐ筆力は高く、スローな前半と大きく展開する後半のコントラストも素晴らしい。文芸作品とは一線を画する文体は法廷で鍛えられたも…

禁忌

ミステリーでもあり法廷ものでもありカテゴリーに容易に収まらない一作。一度読んで気に入ったが何度も読み返す予感がする作品。作者は弁護士。 www.tsogen.co.jp

国宝 吉田修一

書評で評判が高く読んでみた。ストーリーが蕩々と流れる大河小説のような趣で、つまづかず読み進めて読了。歌舞伎に縁のない私なので舞台の描写の巧拙は判断できないが美しい物語という感じである。読みやすさの理由は人物描写が単純で謎を仕込んで、後ほど…

My World: Peter Sagan

2018年のインスブルックで行われた自転車ロードレース世界選手権はスペインのAlejandro Valverdeが勝った。38才の彼は長いキャリアで2個の銀、4個の銅メダルを獲得しているが自転車最強国の一つスペインのエースであってもアルカンシェルのジャージを着るの…

Art of Feedom: : The Life and Climbs of Voytek Kurtyka

私が大学で山登りを始めたころは高山、冬期の登攀がもっとも価値あるクライミングとされていた。山岳雑誌ではアルプス、ヒマラヤ、アンデスなどの高峰登山のニュースが大々的に扱われ、日本の登山隊も毎シーズンのように遠征していた。その頃に特に目を引く…

恐竜知識のアップデート

The Rise and Fall of the Dinosaurs: A New History of a Lost World 作者: Steve Brusatte 出版社/メーカー: William Morrow 発売日: 2018/04/24 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 若手の考古学者が最新の恐竜学の知識を披露する。物心…

小さな小さなクローディン発見物語

若い研究者へ遺すメッセージ 小さな小さなクローディン発見物語作者: 月田承一郎出版社/メーカー: 羊土社発売日: 2006/02/15メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 58回この商品を含むブログ (11件) を見る この本、息子が昨年のクリスマスにサンタさんから…

ipod touchで読書

ipod touchでいろんなアプリを試してみた.一時期はまったのは数独.いったん解くコツがつかめるとパズルが埋まる快感に取り憑かれて通勤電車の行き帰りで熱中していた.しかし一番難しいレベルになるとつまづいて時間がかかりすぎるようになり、旅行で間が…

クラプトン:若くしてギターの神様とあがめられた男の自伝.

Clapton: The Autobiography作者: Eric Clapton出版社/メーカー: Crown Archetype発売日: 2007/10/09メディア: ハードカバー クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見る ロックの巨星、クラプトンが自分の人生を赤裸々に語る.

Predictably Irrational on line

Dan Arielyによる行動経済学の本については以前に触れた。この著作を巡るウェブサイトが公開されている。また本書についてDanが語るビデオがitunesから公開されている。ビデオは本書の各章に対応していて、その第一章の部分を見た。Danがインタビュー形式で…

闇の子供たち

闇の子供たち (幻冬舎文庫)作者: 梁石日出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2004/04/01メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 110回この商品を含むブログ (132件) を見る映画の内容が気になって原作も読んだ.

A Wolf at the Table: A Memoir of My Father

A Wolf at the Table: A Memoir of My Father作者: Augusten Burroughs出版社/メーカー: St Martins Pr発売日: 2008/04/29メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るヒースロー空港で2 for 20 poundにつられて購入.…

決壊

決壊 上巻作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/06/26メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 966回この商品を含むブログ (134件) を見る決壊 下巻作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/06/26メディア: 単行本購入: 8人 クリ…

ジョン・F・ナッシュ

ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡作者: シルヴィアナサー,塩川優出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/03/15メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 171回この商品を含むブログ (49件) を見る数学者ジョン・F・ナッシュの伝記。若くして偉大な…

M.C.エッシャー

無限を求めて―エッシャー、自作を語る (朝日選書) 私は最近の仕事の流れで、平面を単純な法則で効率よく埋め尽くす方法に興味を持っている。それがうまく行ったとき、幾何学的な美しさを人は感じるのだ。そんな世界を平面上に印刷される版画で達成していた空…

アーサー・C・クラーク

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080319-OYT1T00315.htm?from=main5 大好きな作家がとうとう亡くなった。私は30歳を超えてからこの人の作品を読むようになったのだが、その偉大なスケールが大好きだった。「2001年宇宙の旅」はミステリー仕立て…

メディアマーカー

読んだ本や購入したCD/DVDの情報はroadman2005のバインダーにまず書き込む事にする。

吉村昭

ニコライ遭難 (新潮文庫)作者: 吉村昭出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/10/30メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る吉村昭は高熱隧道、島抜け、と読んできたがこの作品は別格の出来。例によって写実に徹した表現で淡…

ロードレースの本

昨夜は帰宅時に雨に降られてさんざんだった。しかし一夜明けてみるときれいな晴天。熊野の時に見たうまく走っている人は楽々下ハンドルを握って走っているのに、自分はなぜ化同じ姿勢が長い時間とれないでいた。腕が短いのかな?と思ったりしたのだが通勤途…