ドイツ、学会、ノーベル賞

 今週のノーベル賞発表週間の前半はドイツでの集会で過ごした.月曜日はちょっと気になりながら講演を聞いていたら12時過ぎの講演の合間にEMBOのDirectorになるというMLさんが大声で叫んだ.「ネットサーフィンをしていない人にお知らせ!今年の医学生理学賞はテロメレースのxxxです!」.発生と細胞生物関係の集会だったのでちょっと落胆めいた空気が流れてそのまま昼食へ.テーブルでも話題にさえ登らなかった.しかしテトラヒメナと言うマイナーな(失礼!)生物から始まった研究が超弩級の成果にたどり着いたのはこれが二件目(前回はribozyme).化学賞もリボソームの構造だった*1.基礎研究をおろそかにしがちな政府と政治家にはしっかり理解しておいてもらいたい.

 学会自体はきわめてエキサイティング.形態形成を新たな視点で見直そうという潮流を盛り立てたいというオーガナイザーの気持ちがよく伝わって来た.定量化、モデル化、イメージング、光による操作などなどに技術がてんこ盛り.張力、力に関する議論も盛んだった.しかし直接力を計る事ができない事と、非破壊的な力の検出方法がまだないところが大きな関門として残っている.100名あまりの参加者が4日間に渡って密接に話し合えるとても良い集会だった.私のトークの司会をしてくださったのが生物物理学者として高名なGlenn Edwards教授.パリでsubbaticalをやっており初めて自分でハエの卵を操作していると嬉しそうに話していた.全くの物理学者で話と、反応のツボが普通の生物学者とは違うので面白い会話ができた.残念だったのは日本からの参加者が少なかったこと.

*1:こちらはなぜこの三人なのかが今ひとつ理解できていない.野村真康先生とかHarry Nollerとかの仕事には凄さを感じる.化学、とは言えないが・・・.