研究心得

 気になっている事を書き留めておきます。

 その1:凡庸と飛躍


 中学生の息子の勉強につきあって思い出したのですが、中高生の勉強でのコツの一つに「すぐ調べる」ということがあります。わからない英単語は辞書を引く、試験で解けなかった問題は忘れる前にやり直す、それでもわからないことは翌日先生に聞く。こんな事をこまめに積み重ねることで確実に力はつきます。どこが分からないから理解できないのか?を解らないなりに解析して解決へに道筋を突き止める解析力を身につける事が大事です。


 研究に関してもこれは当てはまります。しかし研究には概して正解という物がない、もしくはその時点で何が正解かのコンセンサスが得られない事が多いです。そこでいくつか存在する可能な解の中からどれを選択して次の検証にかけるかという選択をします。私が見ていると常識的な答えを用意して満足する人が多いようです。「なぜそんな凡庸な解釈に満足しているのか?」と不思議に思うことが多いです。凡庸な答えに安住できる人は凡庸以上の科学者にはなれません。


 私の大学院時代の恩師は時々奇抜な、といえるような考えを口にする事がありました。それは結果から導かれる事の数手先を読んでの事だったり、彼の頭にあったことへ強引に結びつける発想だったりしたと思います。しかし突拍子もない意見を発し続けることで凡庸にとどまる事への警鐘を鳴らしていたのだと思います。私が凡庸に甘んじる研究者を許せないのはこの影響があったからでしょう。


 計算を積んだ上で常識に背を向けて飛躍にかける事をおそれてはならない、と思う。