HEW

 ハンブルグではHEW Cyclassicsという自転車ロードレースをみてきた。実の所はレースを観戦、というよりもこちらの人たちが自転車レースをどのように受け入れているのかに興味があった。このレースはHEWと言う電源会社の主宰で本社の置かれているハンブルグ市庁舎前にスタートとゴールが設置されている。ハンブルグ中央駅前でもあり日本で言うと東京の丸の内のような所だ。レース当日は市の中心部では交通規制が引かれバスも運休なので地下鉄で会場に向かう。駅から地上に上がるとすでに市民レースが始まっており応援がにぎやかだ。ドイツでは日曜の小売業の営業は制限されているのでブティック、デパートはみなお休み。オフィスもデモも当然休みで駅前の繁華街がレース一色になっている。冒頭の写真はゴール付近で配られていた応援グッズ。棒をもって回すとギアがかんでいるところでプラスチック板がギィィーと鳴る。

市外を150km走ったメイン集団がハンブルグ中央駅前に帰ってきた。応援の声援とギィィーという音がこちらに向かって押し寄せてくると選手が近づいてきたことがわかる。この通りは6車線もある広い通りだが一般車は全く走っていない。

集団のスピードは速すぎ。この集団には日本人ライダーの別府史之もいたはずなのだがだれがが誰だかわからない。唯一一瞬でわかったのは金色ヘルメットをかぶったこの人。イタリアのパオロ・ベッティーニアテネオリンピックのチャンプだ。

この日は断続的に雨が降る寒い日だが市内のカフェでコーヒーを飲みながら待って選手が来ると雨にぬれながら応援するファンが大勢いた。二度目に見たメイン集団では金メットのベッティーニがチームの若手のために先頭を引いていた。彼らはベッティーニの期待に応えて見事ワンツーフィニッシュを飾ることになる。

街をレース場にかえてしまうのもHEWの力のおかげもあろうが交通を全面ストップさせる事を受け入れる所に市民がスポーツを身近に受け入れる風土が根付いている事を感じた一日だった。