携帯四題

車内にて

 ある日の東京山手線。混雑した車内の座席で落ちつきのない様子で携帯電話をしきりにさわる若者。着信音が鳴り早速話し出す。そのうち話が盛り上がって来たと見えてだんだん声が大きくなる。二駅過ぎてもまだしゃべっているので彼の顔の前で人差し指を立てて黙るように伝えた。わかったのかわからなかったのか、しばらくして電話を切った。その後も携帯を口元でいじり続けている。

 なるほど、彼にとって携帯電話は心を静めさせるおしゃぶりのようなものなのだろう。

学会にて1

 初日のシンポジウムが始まったばかりの講演半ば。前列の聴衆の中で着信音が鳴り出す。持ち主があわてて携帯を探し出し着信音を切るまでの間、10数秒間講演が中断。冷静だった演者の証言によると着メロはサッカー日本代表の応援歌だったらしい。こんな間抜けたことをするから北朝鮮に負けるのじゃ。

学会にて2

 翌日の昼のランチョンセミナー。目の前で着信音が鳴る。あわてて携帯片手に会場を出る女性。しばらくして戻って来たがまた鳴り出す。「着信音くらい消さんかい、このオバハン!」と思わず口をついて出た(失礼!)。

学会にて3

 またまた講演中。後ろの席で着信音が鳴ったと思ったら今度は男がその場でしゃべり出した。


 学者と呼ばれる人たちの集まりでこの有様である。来年からは講演前に座長が「携帯電話はマナーモードに切り換えてください」とアナウンスしないといけないようである。情けないですね。