今日のセミナー:Cayetano Gonzalez

 スペイン、バルセロナからきた本日の講演者。細胞分裂の紡錘体の研究を長年やってきた彼だが今日の話は出色。中心体の構成分子を同定し、その複製と移動パターンをショウジョウバエの神経幹細胞の非対称分裂において丹念に追跡する実験だ。通常は中心体の複製は直ちにasterを構築して等価になり片方が移動するのだが、神経幹細胞では母中心体は細胞極性に従ってapical側に安定して保持されるのに対してもう片方の中心体(娘)はpericentriolar materialを失い核の周りをランダムに動き回る。娘中心体はM期が近づくともう片方の中心体(母)の支配下に落ち、basal側に移動、そこでやっとgannma-tubulinなどのpericentriolar materialを獲得して紡錘体を形成できるようになる。非対称細胞分裂は紡錘体が非対称であることは知られていたが中心体複製の時点で既に非対称であったとは目から鱗。類似の結論に至った仕事が同時期の出た精子の生殖幹細胞の仕事でしめされているがCayetanoの仕事はライブイメージングの威力を存分に使って、神経系の細胞で納得できる結果を出したという点で普遍性を拡張した。残念だったのはこの話をしっかり見ておかなくてはいけないメンバーの何人かがかけていたことだ。心当たりのある人、反省すべし。

参考文献
http://www.developmentalcell.com/content/article/abstract?uid=PIIS1534580707000603
Asymmetric Inheritance of Mother Versus Daughter Centrosome in Stem Cell Division | Science