野村克也氏

 日経で先週から連載が始まった。野球ファンならずともこれは目が離せない。ここまでは苦しかった学生時代とテスト入団で南海に入団し、レギュラー入りを果たすまでが語られてきた。それに続いて今週は野村氏が以下に知恵を絞って打者として、キャッチャーとして一流になってきたかの舞台裏が明かされる。


 昨日までは打者として梶本や米田などの一流ピッチャーをビデオで研究し相手の癖を見抜いて打ち込むまでの事が記されていた。特におもしろかったのは西鉄の稲尾投手との対戦。野村氏が稲尾投手の癖を研究して打ち込みに成功し始めたころ、チームメートだった杉浦氏にそのやり方をバラされてしまい稲尾投手に裏の裏をかかれるようになってしまった。そこで両者は知恵を絞って配球と相手の読みを研究し合ってより高度な頭脳戦に昇華させていったとのこと。


 本日は「捕手は試合の脚本家」と題してバッターの心理を読んで「ささやき」を交えて相手の心理をコントロールする話だった。長島茂雄選手だけは話が全然かみ合わずお手上げだったというのには笑えた。



 野村氏の名言に「生涯一捕手」というのがある。バッターとして大成し、監督として成功し、江夏投手など数多くのピッチャーや、古田選手などの名捕手を育てた裏には捕手からの視点を忘れないという野村氏の不動のスタンスがあったのだと思う。


 野球が牧歌的な時代から現代野球へ発展してきた時代を体現する偉大な人物の言葉にはつくづく味わい深い物だ。これから江夏投手の再生や監督時代がどう語られるのか、今から楽しみだ。


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