キャリアパス

 ではリーダーを目指すことだけが科学者の道だろうか?いやそうではない。理想のサイエンスを実践するのに必ずしもリーダーにならなくても良い場合もある。リーダーの重責がかえって研究面にマイナスに響くことも人によってはあるだろう。共働きなどのケースで家庭とのバランスをとるための中庸の選択もあるだろう。またそもそも「オレ/ワタシは自分の好きな研究だけやっておれれば出世なんかどうでも良いんだ」という本音をもった人は多いだろう。

 科学は多彩な技術とアイデアを要する総合文化である。出世街道とは別に高い技能や専門知識を備えた人材を確保し、活用する制度の工夫がこれからの人口減少の時代に必要だと感じている。

 しかし忘れてはならないことがある。科学者とは自分のアイデアを生かして夢を追求する機会を与えられた選ばれた人間だ、というのが私の認識だ。この夢の追求を許してくれているのは社会であり、納税者だ。彼らに対しての説明することと、成果を社会に還元する*1責任を負えるものだけにサイエンスを続ける資格が与えられるのだと思う。

*1:必ずしも実用的な結果ではなく、我々の世界観、自然観を深めてくれる知識を含む