旭山動物園


 今月初めは北海道に旅行に行っていた。道東を車でまわって旭川から帰ったのだが一番印象に残ったのは動物園だった。

 最初は北海道まで行って動物園に行くことはない、というわけで予定には入っていなかった。しかし大雪山黒岳に登った日が強風で山頂から追い返されて午後時間が余ってしまった。思い立って「しんどい」という妻子を説得して動物園に出かけた。これが大ヒット。こんな面白い動物園は他にない。

 なぜ面白いかというという理由を考えた。

 まず第一に動物が動いている。えさのやり方を工夫して観客の前で活発に動くようにし向けている。


 このトラはつい先ほどまで昼寝をしていたのだがどういう仕掛けをしたのか水槽に入り窓越しに観客に水をかけている。子供はびっくりと大喜び。


 名物のオランウータンは檻から登る柱を登ると地上17メートルの水平の鉄骨に捕まって向こう側の檻に置いたおやつをとりに行くところ。観客は真下から猿を見上げることができる。彼が飛び降りたら人も猿共々ただでは済まない。だから「猿は木から絶対に落ちない」という確信の元につくられた施設なのだ。体重120kgのオランウータンが見せる動作のひとつひとつに観客は大興奮。いやー、すごいものを見てしまった。

 第二にいつもとは違った角度からの動物を見せてくれる。

 これはアザラシが上下に通る円柱長の通り道「マリン・ウェイ」。彼らが上下しておなかを見せるするたびに歓声が上がる。見ている人間を眺めるのも面白い。

 これは水中トンネルから見上げるペンギン。こうやってみるとやはり彼らは鳥なんだと納得。

 第三に飼育係の熱意。

 これは知床五湖で見た水草を食べるエゾシカだ。動物園の檻の中にもエゾシカがいる。退屈そうにえさを食べるがこれといって気の利いた動きをするわけではない。しかし「もぐもぐタイム」といって飼育係が解説をする時間があるのだが若い飼育係のお兄さんが楽しそうにシカの一頭一頭を観客に動物園の仲間として紹介する様子に感心した。また訪れてシカの成長を確かめて見たい気になるのだ。

 入場者数日本一の実績には絶えざる研究と工夫があったことがよくわかる。訪れて初めてわかったのだがこの動物園、旭川市立なのだが街のはずれにあり廻りは見渡す限りの農地、街の中心部からは市バスに40分揺られてくるか、自家用車で来る他はない。こんな不便なところにわざわざ来るのはここの動物に会いに来るためだけなのだ。動物園関係者の熱意に脱帽!