文庫で見つけられるものをまとめて購入して読んでみた。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/08/10
- メディア: 文庫
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衰弱という言葉が適当かどうかは分からないけれどある方向に向かって変質し続けていることだけは確かだね。しかもそれは容易に逆戻りできない変質だ。僕のような立場の人間から見れば、その方向の行き止まりがどうなっているのか、とても心配だ
作者がこの寓話に託して何を語りたかったのかは分からないが読む人によっていろいろな感想を引き出せるように仕組まれている。
私にとっては五感をとぎすませて、想像力を働かせて、光、音、香り、そして言葉や旋律を受け入れる日常を失うと心はたちまちすさんでくるというのが教訓だ。最近世間をにぎわせている子供同士のいじめや、マスコミによる責任者のつるし上げ、などの心の荒廃も想像力の欠如によるものが多いような気がする。
小川洋子さん、恐るべし。