紫電改のタカ

紫電改のタカ (4) (中公文庫―コミック版 (Cち1-4))

紫電改のタカ (4) (中公文庫―コミック版 (Cち1-4))

 梯さんの本にある硫黄島の最後の様子は滑走路を持ちながらも飛ばす飛行機もなく攻めてくる米軍を待ち伏せて襲撃するしか戦う術のない日本軍の姿を描いている。米軍と前線で対峙する兵士を描く作品としてちばてつや氏のこの作品を思い出した。小さいときに読んだ断片的な記憶しかないのだが南海の孤島で友を一人づつ失いながら、圧倒的に強力な米軍相手に孤独に戦う航空兵の話だった。昭和30年代後半。敗戦から10年余りが経過したが戦争体験がまだ濃い作家達が戦後生まれの子供に向けて書いた漫画だ。平和運動厭戦気分とは別にこのようなコミックが広く読まれる時代で、気がつくと私もそんな時代の雰囲気に人格形成の多感な時期を過ごしていたのだと気がついた。