ブレーキあって助かった!

ブレーキなし。問題なし。

 先週末、実業団レースで優勝を飾った橋川健選手の昨日のエントリー。

僕が実走行における講習会を開催する時は、必ずといって良いほど「フルブレーキングの講習」を行う。

ーー中略ーー

僕が講習会を行うのは、時速30kmであるポイントに進入し、そこからフルブレーキをかけて「何mで止まれるか?」を計るものである。登録してレースをしている方レベルだと、3m前後で止まる事が出来る。しかし、自転車暦5年以上のベテランと言われる方でも15mを超える場合もある。これまでの感覚で言うと、だいたい20人中、3m以内で止まれるのは2〜3名である。しかし、講習をきちんと受けたあとには、半数くらいの方が3m以内で止まれるようになり、9割の方は5m以内で止まれるようになる。それでも事故は起こり得るのは分かっているが、加害者、及び被害者になる確率は減ると思う。命を落とすような事故がかすり傷で済む場合があるかもしれない。そんな、まさかの為の講習である。

ーー中略ーー


自転車は加害者にも被害者にもなり得る。「ブレーキなし。問題なし。」と言ったヤツに問いたい。「あなたは何mで止まれますか?」「人に危害を加えない為に細心の注意を払っていますか?」「人に危害を加えないと誓えますか?」

 さすがプロ、いい事を言ってくれる!と感心したのだがまさか翌朝に早速フルブレーキングを実践するとは夢にも思っていなかった。

 出勤途中の交差点前、下り坂でスピードが出るところ、交差点前50メートルほどで青信号、このまま交差点に入ろうとしたら左手前の測道から軽自動車を運転した馬鹿がいきなり飛び出してきた。左折しつつある車に追突しそうになりブレーキをかけたが間に合いそうにない。そのまま横転して停止、すぐさま起きあがり「バカヤロー」と叫ぶがドライバーはそのまま走り去った。ああいう無神経なやつがいつから困るのだと思いつつあわてて自転車を路上から拾い上げ、散乱した工具やインフレーターを回収して歩道に座り込む。

 アドレナリンラッシュが去るのを待ちながら身体の各部を点検。左側に横転したのだが頭はok、肘と腰の打撲だけのようだ。さてこれからどうするか、をしばらく考えた。昨夜見たツールドフランドルのビデオの光景が浮かぶ。残り50kmで落車してそのまま棄権か?!と思われたパオリーニがへこたれずにレースに復帰し追い上げて最後は三位に食い込んだ。自分もパオリーニになったつもりで(バカ)、そのまま自転車にまたがりゆっくりと安全運転で出勤した。

 肘と臀部を打ったのだが着ていたジャージの表面は傷すら見えない。しかし着替えながら打撲したところを点検してみると軽い擦過傷があった。着ていたジャージの上着で転倒したのはこれで2回目なのだが未だに表面はすべすべ。昨年購入したレーサーパンツも同じく無傷。アスファルトの上を滑ったのだがしなやかさと強靱さを備えた素材の優秀さにびっくり。第二の皮膚といっても良い。多少高くても気持ちよく走れていざというときに身を守ってくれるので着る価値は高い。

 ともあれ道路は危険が一杯。素早くしなやかに走って身の安全を守りたいものだ。ブレーキは大事ですよ!