政治家を使い捨てにするな

 安部総理の辞任。なんだかなー。拍手と高支持率で迎えられ、1年経たずに石を持って追われる。政治家もマスコミも調子に乗って罵詈雑言。辞任の記者会見を見て痛々しい感じがぬぐえない。この一年でこの人は疲れ切ってしまったのだ。

 政治家って大変な仕事だ。国民の期待が大きいほど反発も大きい。政治家になるには選挙に勝たなくてはならぬ。お金がなくてはいけない。一円たりとも漏らさず収支は領収書に残さなくてはならぬ(物事には程度というものがあるがこれはやりすぎ。ばかばかしい!)。領収書集めに精を出すくらいならしっかり勉強して政策で成果を挙げてほしい。選挙に勝って政争を生き抜くしたたかな能力なくして、財政を預かり外交をこなす舞台には立てない。しかし選挙に勝つ才能と政事を行い、海外の指導者たちと渡り合う能力は必ずしも同じではない。これまでも有能だろうと思われる政治家がカネやその他の問題で脚を引っ張られてきた。逆に政争に長けた策士が幅をきかせて政治を牛耳ることが多い。民主党の小沢党首がそのタイプだが、仮に民主党が政権を取ったとしても小沢氏が首相になって外交の全面に立つ事は今ちょっと想像しがたい。彼は水面下にいて、野にあってこそこそ敵の首を取るゲリラ戦を展開できるのでは?

 政権が1年も持たない状態は国家にとって緊急な事態で行政をすすめ、外交面でプレゼンスを保つには極めて不利だ。国民とメディアにも少しは政治家を見守り・育てるという環境が整わないと政治の分野でこれから優れた人材が失われることを危惧する。

 それにしても国家の代表に浴びせる言葉としては耳を覆うばかりのコメントが政治家や評論家から発せられていた。学校の学級委員会であんな事はいわないでしょう。国家の指導者は礼節を知る人物であるべきで、そのような人物が育つ国であってほしいのだ。


フィレンツェにて