Step by Step

 ある大学教官のブログに1万人を超したポスドクを何とかしてほしいという意見があった。柳田先生の大人気Blogでもポスドク問題が語られるたびに凄い数のコメントが殺到している*1ポスドク中のGardener君のサイトでもこんな記事があって任期制研究職に就いている人たちの不満と不安が充満していることがよくわかる。

 実際ポスドクの就職問題は深刻で大学が独立法人化で構造改革を迫られている状況で供給に見合った助手、助教授ポストが用意できないのが現状だ。

 でもこれって昔に比べたらとっても良い状況なんです。私が大学院を目指したときは博士をとっても行き先がなくラボに無給で残る人がたくさんいました。これをオーバードクター(OD)といいます。院に進学したとき教授に言われたのは「稼ぎのある嫁さんを捜せ」というお言葉でした。私を含めた学生達はこのありがたい御指導を忠実に実践したのでありました。嫁探しも良いのですが、まがりなりにも給与が出て研究に専念できるPDの方がよっぽどましです。

 さて我が国全体のサイエンスを考えたとき教育、研究費、研究レベルの向上、など様々な課題が山積です。その中で私がもっとも大事だと思うのは「人材の獲得」です。いくらお金があっても優れた人材なくして成果は望めません。人材の確保に向けた政策として大学院定員とポスドク枠の増加は必要な第一歩だったと思います。しかしその後のフォローとして科研費でのポスドク雇用が可能になったこと(これは人気の学振PDの任期切れ後の対応に使うことができます)、ポスドクでも科研費の申請資格ができたこと(自分の研究費を稼ぐことができる)、などは制度的な前進として評価できます。硬直した人事制度や、PDの年齢制限などまだまだ問題は残っていますが制度の不備を指摘しつつも現行制度をよく研究してうまく活用することで研究を続行して夢の実現を果たすチャンスは大きいと信じます。

*1:6月9日とそれに続く数日間記事とコメントを見てください