Gift

 実験に抗体が必要になったので金曜の夜、帰り際にリクエストのメールを三通送信した。数時間も経たないうちに次々と返事があってすぐに送ってくれるとの事。二件は私の大学院時代とポスドク時代の知人の同業者。近況などと共に快く送ってくれるとの返信。もう一件は個人的には一度だけ会っただけの人なのだがなんと数マイクロリッターしか残っていない貴重な抗体を分けてくれるという。これも以前彼からのリクエストに応えていたからなのだが本当にありがたいことだ。

 私の業界ではpublishされた実験材料のやりとりは研究用であれば無条件で分与される事が常識だ。アクティブなラボほど実験材料の送付に忙殺される。しかし結局そうすることで自分の研究のメリットになる事がわかっているのでみんなせっせと送り続けているわけだ。もっと世知辛い対応をしている業界もあるようだし、競争が激しいとそんな事は言っておれないところもあるように聞く。また自分の手を離れた研究試料が回り回って競争相手の手に渡る事もあるだろう。しかし研究に関してオープンである事のメリットを大事にしておおらかにありたいと思うのだ。