小川洋子

余白の愛 (中公文庫)

余白の愛 (中公文庫)

 これはいい作品。読んだのは二回目だが読めば読むほど味わいが増す。「音」がテーマ。聴覚に障害を持つ女性が主人公で彼女の体験する様々な耳鳴りを自分も体験しているような気がする。この作家は現実と空想の狭間に読者を軽々と誘う希有な能力を有している。