新リア王:再読

新リア王 上

新リア王 上

 この一ヶ月間、政治の激動を眺めつこの作品を思いだし読み返す。青森県に「王国」を築いた老代議士が勢力を失い落剥の身になり、僧侶となった婚外子の息子と語り合う。扱われるテーマが地方の経済的衰退と中央への隷属、政経一体で地方を支配する一族、自民党の党内抗争と地方の代理戦争、身内の裏切り、秘書の自殺、一族の分裂。

 今回改めて読むとこれらの題材は地方から官邸へと舞台を移して現実に展開しているテーマそのもの出、いっそうのリアリティーを感じつつ読むことが出来た。

 現実がフィクションを軽々と追い越してしまうとんでもない時代を私たちは今目撃しているのだ。