Miles Davis

Nefertiti

またまた買ってしまった。
Nefertiti (Reis)

この1967年の作品はマイルス、ウェイン・ショーターロン・カーターハービー・ハンコック、そして若干17才でマイルスクインテットに加わったトニー・ウィリアムス。先日職場の同僚のEさん(研究をばりばりやる傍らドラムをたたく趣味人)とマイルスの話になったら彼が「バンドはやっぱりタイコがしっかりしていないとね〜。やっぱりトニー・ウィリアムスがいいですね。」とドラマーならではのコメント。私はこの時期のマイルスは聞いていなかったので早速購入。

これが凄かった。

やはりバンドはドラムで持つというEさんの言葉通りにホーンの後ろで暴れ回り、どんどん他のメンバーをけしかける。マイルスの自叙伝にこの時期のトニーに関する記述があるので一部抜粋。
マイルス・デイビス自叙伝〈2〉 (宝島社文庫)

トニーがいるこのバンドじゃ、何でものぞみ通りの演奏ができた。いつでもトニーがバンドのサウンドの中心だった。トニーを中心に動き回り、燃え上がった。本当にトニーは最高だった。(II p81)。


ドラマーの話になったらトニー・ウィリアムスしかいないと、これだけは間違いなく言える。彼のような奴には、後にも先にも一人しかいない。本当にただただ凄かった。(II-p100)

 これがこの当時41才でジャズ界の帝王だった男の言葉だ。マイルスは優れたメンバーをバンドにリクルートすることで自らに刺激を与えて、変化し続けた人だ。この本の中でこれだけの賛辞を浴びたのはトニー以外にはコルトレーンだけだった。すさんだ生活を送っていたマイルスに「しっかり練習しろ」と食ってかかり、彼がついていけないほどのリズムをたたいてマイルスを本気にさせた。マイルスもこの若者の才能とエネルギーをしたたかに利用したのだろう。

 表題のNefertitiはホーンがアドリブなしで決まったメロディーをひたすら繰り返す。その裏でトニーのドラムが徐々に激しく鳴りだしクライマックスに向かう。よくよく聞くとこれはトニーのドラムのための曲だった。

 ミュージシャンの真剣勝負を聞かせてくれ、身が引き締まる一枚だ。