「オルフェーヴル河岸36番地」。フランス作で邦題が「あるいは裏切りという名の犬」(キザなタイトル!そしてなんだか意味不明)というタイトルの刑事映画。
監督・脚本:オリヴィエ・マルシャル。
日経の「シネマ万華鏡(1月12日)」で中条省平さんによる映画評はこんな一節で始まっていた。
うれしい発見である。日本では無名の監督が撮った長編第二作だが、昔日のフィルム・ルノワールの輝きを現代に蘇らせるスリリングな仕上がりで、犯罪映画ファンには絶対に見逃せない傑作となった。
ということで見に行くことにした。
この日は夕方に子供を迎えに行く用事があったので午前中ラボで仕事をしてから午後の上映に出かける。内容は原題にあるパリ警視庁で働く刑事達を取り巻く内部抗争と裏切り、超法規的な犯罪捜査と暴力シーンが連続する。とはいっても主人公が立ちっぱなしと言うわけでもなく*1落ち着いてプロットを読む余裕があたえられる。中条さんが絶賛されていた通りの複雑な伏線が全て関連を持っていて、最後の一瞬のカットで全てがつながる。うーん、見事な構成。陰惨なストーリーなのだがなんだかパズルが解けたときのような爽快な気持ちで座席を立ってもぎりのお姉さんに「良かったねー」と声をかけてしまった。最高の作品にふさわしい優れた批評に巡り会えた幸運に感謝。
出演者を見ていたら主人公(ダニエル・オートゥイユ)の妻役で出ていたヴァレリア・ゴリノは「レインマン」でトム・クルーズの恋人役で出ていた人だった。「レインマン」から18年。年月を重ねた味が出ていた。
この作品、ロバート・デニーロが気に入ってリメークするそうだ。この原作の見事さを見てしまった私にとってはリメークはやめて欲しいのだが・・・。