Peer Review

 週末に出勤するのは現在リバイスに入っている論文への追加データを用意するため。論文はこれからが正念場だが結局は自分の肩に責任はかかってくる。やりがいはあるが孤独な作業でもある。
 仕事が完成して論文として世に公に認められるためには3つのステップがある。1)実験データを集めて新しい発見や重要課題の解決につながるストーリーをまとめる。2)論文を書く。もちろん英語で。3)雑誌に投稿する。うまく審査に回ったら審査員(Peer Reviewer)と編集者から寄せられる批判に答えて彼らを納得させるまでやりとりをする。Peer Reviewerは無償で審査を引き受けるボランティアだが厳しい批判を寄せることで論文の質を確かなものにするという研究社会に対する責任がある。彼らとの戦いは長く、やっかいなものになることもある。
 多くの人は実験データをそろえて論文原稿を書く所までで仕事は終わりと思っている。しかし実は最後のステップが難関になることが多い。知力を尽くしてReviewerの批判をかわす過程を若いうちからこなしておけばとてもいい訓練になるのだがなかなかここまでやり抜く人がいないんだよね。私は最終責任者だからこの貴重な経験を研究室のメンバーに分けてやりたいのだが肝心な時には当人がもういない、てなことも多い。先を急ぐ気持ちはわかるがちゃんとやっていってよね、というのは私の本音である。