iPapers

 論文読みは大事な仕事だ。かつては図書館で雑誌をめくり、コピーをとってしていた。コピーはファイルされ書棚に収まるのだが読みたい論文は必要な時に限って見つからなくなる。結局もういちど図書館に駆け込むことがしばしば。今ではデスクトップでPubmed検索、直ちにジャーナルサイトからダウンロードだ。そこで困るのが拾い集めたPDFファイルの整理だ。ダウンロードしたままだとファイル名は整理には向かない。結局机に上に積み上がったコピーの山と同じで必要な時に難度もダウンロードという作業を繰り返すことになる。なんたる無駄!

 そこでPDFファイルを整理できるソフトはないものか探していた。マック使いの私だがPDFを格納できるデータベースとしてはiPhotoがあった。これなら画像やムービーと一緒に整理できて、プレビューとフォルダに整理すればかなり使い勝手はいいかもと思っていた。しかしiPhoto2になりMac OSXとは別売になったとたんにPDFは扱えなくなった。

 そこでGoogleで"PDF 整理"と入力するとすぐさまヒット。評判も上々なのでMacOSXダウンロードサイト(科学・数学)から落としてつかってみる。

 これは便利。使い方はいたってシンプル。PDFのファイル名をPubmedのID番号に書き換えてWindowにドラッグアンドドロップすればデータベースに格納され、PDFも所定のファイルに収められる。またiPaperの検索画面でPubmedの論文を探してそこからPDFをダウンロードすればファイル名は自動的に書き換えらる。Endonoteへのexport機能もあるので普段の論文検索はiPaperを基盤として行い、論文書きに入ったらendonoteに移ると言う使い分けも可能だ。

 ただしまだ新しいソフトなようで改善して頂ければ良いと思う点がある。

  1. まず検索画面。もう少し検索機能が充実してくれれば良いと思う*1。今のままではPubmedでまず検索してから改めてiPaperに落とし直すという手間がかかる。この点は現在開発中のiPaper 2で改善されるようだ。
  2. Supplement。最近の論文はSupplementary Dataがやたらと着いてくる。場合によっては本論文をはるかに上回る分量があったり動画があるとそのサイズは尋常ではなくブロードバンドなくしては見ることは難しいと思うほどだ。Supplementを本論文に関連づけて保管出来る機能があれば、と思う。*2
  3. プレビュー機能:論文のリスト表示は著者、題名の一部しか見えずPDFを開く必要がある。iPaper2ではすでに対処がされている。

 本来はEndonoteがこのような機能を兼ね備えてくれれば良かったのに、と思う。余談だがEndonoteとMS Wordの相性は相変わらず悪く、フォーマットのたびにトラブルが連発だ。Wordではなくもっと軽いテキストエディターに対応する文献整理ソフトがあれば迷わず乗り換えたい。iPaperがその方向にあることを期待したい。

 ともあれこのような便利なソフトを開発し、フリーウェアで提供してくださっているToshihiro Aoyamaさんに深く感謝します。


 

*1:私の要領が悪いこともあるようだが

*2:しかしここで問題はSupplementのフォーマット(そして品質)がジャーナルによってまちまちでPDF、jpeg、ムービー、音声など雑多なのでそれらすべてへの対応が困難な事は理解できる