小川洋子

薬指の標本 (新潮文庫)

薬指の標本 (新潮文庫)

 ホラー的な話なのだが丁寧な心理描写が良い印象を生む。フランスで映画化されたそうだ。

妊娠カレンダー (文春文庫)

妊娠カレンダー (文春文庫)

 芥川賞受賞の出世作。でも描かれる女性の心理描写が好きになれない。嫌らしい、という印象だ。人間の病理を写していることは確かなのだがそれほどに評価されるものだとは思えない。

やさしい訴え (文春文庫)

やさしい訴え (文春文庫)

 小川洋子さんの小説は最初にストーリーに同化するまでに時間を要する。なので短編より長編の方が作家の世界にうまく浸れる。この作品は不幸な過去を背負った人物が描かれるのだが、主題は登場人物達が傷を癒して再生する過程だ。前向きのストーリーで気持ちのよい読後感だ。