硫黄島からの手紙

 【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|硫黄島からの手紙

 駅前のシネコンの朝一番の上映に出かけた。切符売り場は大混雑だったのだが劇場自体はさほど混んではおらずゆったり座れた。会場には年配の方が多かった。

 なんというか凄惨な映画。戦争シーンと大本営からの無茶な命令に翻弄される兵士達が次々に死んでいく過程を淡々と描いている。余りにも無駄な命の捨て方で遺族の方が生きていこの映画を見ることがあったらたまらないだろうと思う。しかしその中で渡辺謙演ずる栗原中将はさすが。彼を凛々しく演じさせているクリント・イーストウッド監督も日本人の振る舞い方の様式美を研究してきたのだろうか。

 故国の家族を想いながら死んでいく兵士達の物語なのだが、遠く離れた孤島で勝ち目のない戦を戦う気持ちはどのようなものだろうか。どうせ捨てる命なら家族と共に戦い、家族を守るために使いたかったのではないかと思った。そのようなイメージなら自分で想像できるのだ。

 マカロニ・ウェスタンの勧善懲悪ものでスターになったイーストウッドが数多くの変転を経て老境に入り、遺言代わりにつくったこの作品は善悪の価値観を超越した重みがあふれている。

 良かったとか面白いという言葉で表現できないのだが、守るべき大事なものを持つ大人には観ることを勧めたい。