パンとスープとネコ日和

 

 

小林聡美さん演じる雑誌編集者が食堂経営の母の急死を機に自分の店を持つ話。日替わりのサンドイッチとスープのみ、コーヒーもなし、材料を使い切ったら明るいうちに閉店。夜は猫を相手に晩酌。淡々と時間が進む独身女性たちの毎日を優しく描いている。背筋がきれいに伸びた小林さんの姿勢と背が高いがちょっと姿勢が崩れたバイトのしまちゃんの姿が対照的。映像は写真のような切り取り方でフレームを固定したパターンが多い。カメラマンは谷峰登という方だ。要チェック。

 きびきびした料理のシーンと美しく盛り付けられた料理の数々。『食堂もの』と言うべき日本独自のドラマのジャンルを確立する一作。

連続ドラマW「パンとスープとネコ日和」|WOWOWオンライン

New Piste Bike

ロードレーサーはカーボンフレームのSpecializedのS works Tarmacに乗っていて何ら問題はなかった、しかしなんだか物足りない。F50/44, R12-25のギア比でなんだか楽をしすぎている感じがする。そこでギア固定でどれくらいいのギア比で走れるかを考えて通勤でいろいろ試していた。その結果50-15 (3.33)なら何とか帰宅時の坂道を登れる事がわかった。そこで固定ギアの自転車に乗れないかと考えて近隣の自転車屋を見て回るが納得できるものが見当たらない。そんなとき以前ロードレーサーを購入する時に考えていたクロモリフレームのオーダーメイドが頭に浮かび須磨のBellatteを訪れた。ご主人と話していくうちにどんどんイメージが固まりそのまま発注。設計にあたってのコンセプトは以下のとおり。

  1. ロードレーサーと同じ使い方でビンディングペダルで30km/hもしくはそれ以上で走行。
  2. フレームはホリゾンタルで小柄な私の体格で無理なく乗れるような設計。
  3. 年齢を考えて無理はせず、しかし脚力を高められるように追い込める。
  4. 100km以上の遠乗りも想定してボトルケージを2カ所に着ける。
  5. ブレーキはロード仕様にしてブラケットを持てるようにする。後輪は固定せずフリーホイールにする。
  6. ギア比は当面F47 R16 2.93とする。
  7. ホイールはこぎ出しの軽さ考えてカーボンに。
  8. ご主人の提案でハンドル幅はいまの400mmから380mmに狭くする。
  9. ペダルは現行のシマノSPDからTimeに変更。

相談の結果、BellatteでSprintとしてい仕様を基本としてピストバイクを設計してもらう事にした。設計の確認、色の設定を経てあれよあれよという間にフレームが完成。持参したカンパのブレーキを装着して完成・納品と相成った。

軽い、かっこいい。ピカピカのメッキと光を反射するライトブルーの塗装が素敵。

一週間で160km程度乗った感想。

  1. こぎ出しが軽い。車体も軽い。
  2. ギア比は適当。
  3. アチェンジを考えなくて良いのでぺダルを踏んでスムースにクランクを回すことに集中できる。
  4. 身体のポジションをいろいろ試したが前傾、下ハンドルではなく、背筋を伸ばしてサドルの後に乗ってトルクをかけて回す乗り方が出力をうまく出せると思う。設計はお任せだったがうまく私の身体に合っている。さすがのオーダーメイド。
  5. シンプルでかっこいい!

ということでこれからじっくりつきあうことにする。走行距離が1000kmを越える頃からスチールパイプがしなりを増してクロモリ特有の走行感が出てくるという。楽しみ!

 

 

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Kazahana キャットウォーク

ライミングする時に背負うパックは選択に困る。これまで使っているのはパタゴニアのアセンジョニスト・パック25Lオレンジ色の奴だ。これは軽くてギアもごっそり入りロープバッグ代わりにもなるのでマルチで重宝する。しかし小柄の私には背丈が長く、腰回りのギアやチョークバッグを触るには不便。最小限の荷物が入る小さなパックを探していたところに発売されたのがこれ。

crux.easy-myshop.jp

このパックの特徴は1)背丈が短く腰回りが空いているためハーネスを装着してもうしろまで手が届く。2)肩紐の下部がギアループになっている。

 一方でパックに要求されるのは加重を身体に分散させ行動中にずれたり、クライミングの動きを妨げないことだ。そのために通常のパックはウエストベルトで腰に固定する。しかし小型のクライミング用パックでは腰にベルトは使えない。そこでこのキャットウォークでは胸回りのベルトで身体に固定する。

 

これは肩紐だけの状態。

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これがチェストベルトで固定したところ。ギアループを迂回しているためにチェストベルトの位置が無理してかなり上部に来ており窮屈だ。この状態ではほとんど加重はチェストベルトと背中に分散している。肩紐は緩めてギアループを長めにしても問題ない。

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これは荷物を入れたところ。メインの荷室にはアプローチシューズ、500mlペットボトル、おにぎり二個、ウィンドブレーカー。ポケットに携帯、鍵、キンドル、携帯バッテリー、ハンカチ、等々。荷室は縦のチャックで開く形なので靴などの出し入れにはちょっと不便だがクライミングのいろいろな姿勢で荷物を不意に落とす心配は少ないのでこれで良いだろう。

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これを装着して鈴蘭台から妙号岩に行って5.7位のルートをソロで登って岩頭まで。その後鵯越までハイキング。岩の上ではチェストベルトで固定しているとほとんどパックの存在は気にならない。歩くときにはチェストを外す。暖かい日の服装で、ギアを持たない状態ならこのパックで十分なサイズだ。軽量化のために最低限の薄い生地で作られているためパッキングは丁寧にして背中への収まりを最適化する必要がある。ギアループをつけて登るのはまた別の機会にテストする事にする。

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国宝 吉田修一

書評で評判が高く読んでみた。ストーリーが蕩々と流れる大河小説のような趣で、つまづかず読み進めて読了。歌舞伎に縁のない私なので舞台の描写の巧拙は判断できないが美しい物語という感じである。読みやすさの理由は人物描写が単純で謎を仕込んで、後ほど回収するような場面が一切ないからである。なので人物描写は浅く、プロットは単純で小説としての深みには欠ける。新聞の連載として断片的読むにはこれくらいの容易さで良いだろうがまとめて読むには小説としての巧みさ重厚さにかける。また章ごとに話が独立していて、時系列にしたがって進む。あたかもテレビの連続ドラマを意識したような物語構成に著者の目論見が透けて見えて良い感じはしなかった。

 

 

publications.asahi.com

My World: Peter Sagan

2018年のインスブルックで行われた自転車ロードレース世界選手権はスペインのAlejandro Valverdeが勝った。38才の彼は長いキャリアで2個の銀、4個の銅メダルを獲得しているが自転車最強国の一つスペインのエースであってもアルカンシェルのジャージを着るのに17年を要した。200名以上が参加して勝つのはたった一人。自転車のビッグレースで勝つのはそれだけ大変で、実力、チームサポート、運が必要だ。メダルセレモニーにサプライズで登場しValverdeに金メダルを渡したのが本書の著者、Peter Saganだ。Saganは2015から2017までの三年間世界チャンピオンのタイトルを保持し続けた。スロヴァキアという歴史の浅い小国で、チームメートのサポートも彼以外に2名しかいない弱小チームで(スペイン、フランス、イタリアなどは常時最大の10名で編成される)勝ち続けるのは偶然ではあり得ない。勝ち方も最終局面で抜け出して逃げ切り(2015,Richmond)、集団を分断しできたスプリンターぞろいの逃げ集団のスプリント(2016 Doha)、市街地での大集団スプリント制しての勝利(2017 Bergen)などさまざまだ。彼が勝ったシーンも負けたシーンもさまざまなビデオで見ることができる。本書はその本人が自分のサドルの上から見た光景をレース前の準備から序盤、中盤、最終面の駆け引きを語っている。彼自身は「これは自分がみた光景で、選手一人一人がみた光景はすべて違う。自分の経験がレースのすべてではない。」とは言っているが先頭でゴールするチャンピオンがみた光景は彼だけの特別なものだ。その貴重な視点がこの本の面白いところ。

 世界選手権や春のクラシックレース、彼が勝ったレース、負けたレース、どれも疾走感が感じられて凄く面白い。特に面白かったレースを二つ紹介する。2017年の世界選手権は直前に胃腸を壊しろくな食事もできないままに出走したとの事でレースの最終局面まで集団でじっと力を蓄えていたそうだ。とは言ってもライバルチームがSaganを甘くみるはずもなく厳しく監視されていたはずだ。それをかいくぐってゴール前300mまで静かに潜航しつつも徐々に前に上がり、最終直線で先行スプリントをかけた地元のAlexander Christofについて捲り上げて、最後は完璧なタイミングでバイクを投げてペダルを踏み続けたChristofをタイヤ幅の僅差でかわしての勝利。もう一つは2018年のParis-Leubex。最後50kmほどでメイン集団を単独で抜け出し先行の逃げグループに追いいて最後まで逃げ切った。石畳の衝撃が強烈なこのレースで逃げている最中に彼のハンドルのボルトが緩み、左に30度ズレてしまったそうだ。立ち止まって直す訳にも行かず時速40km越えのスピードで逃げ続ける間に逃げの仲間の後輪に当てて修正を試みるなど危ない事もやったが直せず。結局チームカーがきてメカニックに助けてもらったがあのままでは最後のスプリントで負ける可能性もあった訳だ。ともあれ逃げの仲間を一人引き連れてバンクに入り、最後は楽々とスプリントを制して勝利。逃げの間に追いつかれる不安を制してレース冒頭から逃げ続けていた先行グループの選手を見方につけるため自ら引き続けて後続との距離を開くところが緊迫感満点だった。

 サガンは強いだけではなくレース中にウィリーで観客を喜ばしたり、リオのオリンピックではロードではなくマウンテンバイクで出場するなど多彩なバイク技術を生かしたエンターテイナーだ。本当もおもろくて魅力的なヤツのさまざまな面を知ることができる一冊。Kindleで英語版を読了。

 

My World

My World

 

 

2015 Richmond

2017 Bergen

www.youtube.com

 

 

 

 

海に降る

この作品、研究者にはたまらないドラマだ。実在の海洋開発機構 JAMSTEC の深海調査船チームが主役なんだが内容がすごい。隠密調査中の死亡事故を隠蔽したとか、予算削減にあえぐ研究所に政治家の息がかかったやり手の理事長がやってきて、成果の上がらないな研究者と研究部門は廃止して資源調査に専念する、反発した研究者にクビが通告されるとか、調査船「ちきゅう」をはじめとする資産をまとめて叩き売るとか、トンでもない話が連発する。ドロドロのドラマなんだが研究者にとっては極めてリアリティーの高いストーリー。どこか別の研究法人にあてはめても立派に成立する普遍性のある校正。こんなドラマを作るとはWOWOW恐るべし。アマゾンプライムで見れる。

www.wowow.co.jp