理学博士号の価値

 一昨日から名古屋での分子生物学フォーラムに行っていました。迷路のように入り組んだ多数の講演会場とポスター展示場を歩き回り、一日中立ちっぱなしなのでかなり大変です。学会の大きな目的は大会を開いて交流を深めることです。大規模な集会なので得られる情報量も膨大ですがその一方の弊害は、あちこちの会場を歩き回って「つまみ食い」で聞き回るので集中度が落ちることでしょう。会場によっては質疑応答の量と質が十分でないところもありました。空いた時間は極力ポスター会場を回ることにしましたが、ポスターによっては発表者が議論に夢中になってしまい後から来た人がよく見れないような所もありました。

 学会に出かける前に連携講座に参加している大学の選考会議に出席しました。学位の予備審査の審議が議題でしたが、そこで話題になったのは学位につける専攻分野の名称でした。規定によると、

学位授与の可否及び学位に付記する専攻分野の名称の決定は,審査委員会の論文審査及び最終試験の結果の報告に基づき,研究科代議員会において行う。

とされています。大学評価・学位授与機構がまとめた所によると専攻分野の名称はいっぱいあります(http://www.niad.ac.jp/n_shuppan/meishou/hakushi/index.html)。

 一般的には理学、農学、工学、医学、あたりでしょう。しかし学位申請した学生のひとりは「学術博士」を希望していました。その理由というのが「理学博士では就職に不利だから」だと聞いて教官一同は騒然。農学系の先生が「農学博士なら大丈夫ですよ」というフォローをしたのだが*1、失笑するしかなかった。


 英語にすればPh.D (Doctor of Philosophy)となって専攻分野はあまり関係ないとされる(Doctor of Philosophy - Wikipedia)ので私自身は気にしてなかったのだが学生にしたら大問題だと言うことに気づかされてびっくり。

 でも専攻を「理学」としてこそ苦労を重ねて科学の真理を探究して得た学位の価値があると思うのですよ。誇りを持って理学博士(=博士(理学))を名乗って欲しいですね。

 写真は吉田神社。神頼みをするならここ(?!)。

*1:フォローになってない!