自転車は道路を走れなくなるの?

自転車ツーキニスト」なる人種を世に広めた疋田智さんやそのほかの方々が道路交通法修正案の問題点を指摘されている。

 疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」 - メルマ!
 サイクルロード 〜自転車という道/再び現れた悪夢へのシナリオ

 飲酒運転の厳罰化の影に隠れて目立たず、一見なんでもない内容で見逃してしまいそうだが、疋田さんの指摘するように法案が成立すれば運用の仕方によっては歩行者と自転車通行者にとって困ったことになる可能性をはらんでいる。

 歩行者に優しく、安全な自転車走行の徹底はまったくもって正しく認識で、雑踏での走行や逆行運転など危険極まりないものに関しては厳しく取り締まるべきものだ。しかしこれらは現行法で対処可能なものばかりだ。危惧されている意図が入り込む余地がある法案に対しては修正の要求をしたい。ということでパブリックコメントを投稿。警察庁サイトに情報あり。

警察庁交通局交通企画課法令係
パブリックコメント担当 御中

 日頃は道路交通法行政にご尽力頂きありがとうございます。今回の道路交通法改正試案を拝読致しました。飲酒運転に対する厳罰化に関する点は社会の要請もあり適切なものと思われますが、一点修正の要望があります。

「3 自転車利用者対策の推進 (1) 通行区分の明確化」

 この項目は現在車道通行が原則、歩道通行は例外的な場合に限って認められている、という現状に関して、

A.普通自転車が例外的に歩道を通行することができる場合の要件を法律で明確に定めること。
B.一方、歩道通行が認められる場合であっても、歩道における歩行者の安全を確保
するため必要があると警察官等が判断した場合には、当該普通自転車の運転者に対
して当該歩道を引き続き進行してはならない旨を指示することができる(指示に違
反した場合には、処罰の対象となります。)こととします。

という二点の施策を提案しています。しかしいずれの点に関しても現行法の範囲内でカバーできるものであり今回の修正の必要性が明確ではありません。

 自転車の利用は機動性の高い乗り物として国民に広く定着しています。一方で歩道での危険走行など一部に無秩序な利用の仕方が見られることも事実で厳正に取り締まる必要があることには賛成致します。これは現行法の適用で可能であります。

 一方自転車は車道においては車に対しての交通弱者であり、安全な走行を保証されるべきものであります。その対策がBにある「歩道通行」ではもう一方の交通弱者である歩行者に危険を及ぼす結果になります。従って歩行者の安全確保という社会の要請に逆行するものであると判断せざるを得ません。安全な自転車走行は現行法の範囲において交通ルールの徹底(路上駐車の規制、一旦停止の徹底)を図り、車道内での自転車専用レーンなどの道路交通政策の推進などによって実現させるべきものと考えます。

 よって自転車利用者対策の推進に関わる3-(1)の項目は削除するべきと考えます。